(memo)「かえで新下駄配列」に関する検討を、いったん停止することに。

 新下駄配列の起草→完成に至るストーリー(注:現在絶賛連載中)については、kouyさんによる↓をご覧ください。


 ここ数日間、「かえで新下駄配列らしさ」を発揮するために必要となる、「新下駄配列のエッセンス」を抽出できないだろうか……ってところでウロウロしていたのですが、どうもそれをやると「かえで○○○配列に、ならない」らしいことが発覚したので、表題のとおり一旦検討を停止することにしました。


 配列設計のやり方にはいくつかの「考え方」がある思うのですが、超大雑把に造語で言うと「優先席方式」「優先順着席方式」とフルーツバスケット方式」「バスケット方式」の、2種類のやりかたがあります*1

優先順着席方式。

 これは、高頻度字から順番にぽつぽつと割り当てていく*2やり方……mikadoさんがいろいろな配列で採用している*3し、近々ではkouyさんが新下駄配列に使っていたやり方でもあります。そして設計時手順を開示すれば、それがそのまま配列解説になります。
 知識がなくても1-gram頻度で並べることはできるので、一度は経験しておくべき手法。2-gramを調べながらやれば、相当仕込んだ配列も作れます

バスケット方式。

 頻度順とかに沿って一旦仮決めはするけど、あとは同じシフト面内とかでガラガラポンッ!と配列を混ぜなおしちゃう方法*4。新JISかなからはじまっていて、飛鳥カナ配列の歴史はほとんどこのあたりの堂々巡り*5
 手捏ね配列の調整パートではよく使われていて、計算値と現実の差異に苦しんだときには多用される必殺技。ただし配列解説が事実上不可能になるという諸刃の剣。


 優先順着席方式で配列を作ると「バスケット方式で並べなおしたら、コンセプトまで破壊されちゃう」し、その逆も然り……ということになってしまう、と。
 そして「かえで化」ってのは、もともと「バスケット方式で並べられた配列を、バスケット方式でもう一度並べなおす」からこそ「かえで○○○配列」って感じで基礎配列名を残すことができる……のだけれど、新下駄配列に対して「かえで化」を試みるのは、どうにもこういう絡みがあってしっくり来ないらしい。


 当初は新下駄配列がバスケット方式で配字されていると思っていたのだけれど、【新下駄配列作成記 目次 : ローマ字入力でもなく、かな入力でもなく】を見るに明らかな優先順着席方式なので、さすがにこれは無理だな……と。
 そういうわけで、一旦この検討は中止します……もちろん、なにかよい方法が見つかった時点で再開しますけれども。

*1:当然わかってるとは思うけど、性能面では「どっちかが優れていて、どっちかが劣ってる……ってゆー話ではない」点に注意(傾向として、『特定文字←→高頻度文字』は優先順着席方式のほうが打ちやすくなります(一度置いた文字は他の文字によって突き動かされる恐れがないのだから、これは当然の話)。そして『中頻度文字群←→中頻度文字群』はバスケット方式のほうが打ちやすくなります(一度置いた文字であっても他の文字によって突き動かされる可能性があるのだから、これも当然の話)……こういった事情は設計者の技量にほぼ依存せず、決められた範囲の物理けん盤に対して配字するときに「高頻度文字にペグを打つか否か」という、配字ルールそのものに起因して発生する原理的問題)。

*2:徐々に椅子を減らしていく「椅子取りゲーム」ってのがあるけど、あれの逆をやる……要するに「椅子増やしゲーム」をやるのが、「優先順着席方式」の考え方。

*3:http://layout.kachoufuugetu.net/ を見よ!

*4:椅子取りゲームの一種で、鬼が言った「属性」に該当する人が立って、その人達と鬼とが即興椅子取りゲームをするという『フルーツバスケット』みたいな感じ。あれも通常は椅子が減るけど、配列作りでは逆に椅子を増やしていくようなところがある。

*5:新JISかなは「高頻度左手グループ」と「高頻度右手グループ」と「低頻度グループ」に分けて、百万字頻度と5百万打鍵データをぶち込んだら、あとはそのままガラガラポンッ!って感じ……笑っちゃうほど貧弱な計算資源しかなかった当時でもマトモな配列を作れたのは、こーゆー「計算資源の限界に見合った事前制限」に関するセンスの良さが効いてるんだと思う……あとは「高頻度左手グループ」と「高頻度右手グループ」を左右逆に配置していたら、もう少し伸びる余地があったけど、それをしなくても破綻しなかったのは設計センスの勝利だよなと思う。飛鳥カナ配列とかは「漢音」「語尾ほか」「やまとことば対応」みたいな感じで3グループに分けてガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラ……って延々繰り返していた感じ。