(memo)タイパーさんにとって「よい配列」とは、「速く打てる配列」ではなく、「限界突破のための訓練に役立つ配列」なのかも。

 タイパーさんにとって絶対に守るべきルールとして、「競技主催者さんが掲げるルールを破らない」ってことがある、と。
 そして、(特に、狭義の)タイパーさんにとっては、さらに自主規制として「あくまでもQwerty/JISか、Qwerty/ANSIか、JISかなだけで参加する」というルールで参加してる方もいる、と。


 そういう前提で考えたときに、今までは配列屋として「ルールを明確にしてもらって、その範囲内で使えるものを作る」というアプローチだけが存在していた気がする……のだけれど、もしかするともうひとつのアプローチがあるのかもしれない。


 もしも仮に、入力速度を決めるポイントが「運指速度の天井」と「伝達速度の天井」の二つにあるのならば、【ひとつの配列で、両方を限界まで鍛えるのは困難だ】と考えるほうが自然なのかも。
 ……そうすると、「今使っている配列では捉えることができない側の天井を捉えるために、今使っている配列で自身の限界まで高めた後に、それとは異なる性質を持つ配列にいったん乗り換えて訓練し、そして再び元の場所に戻る」という、一種の「山篭り訓練」のような立ち位置で使われるべき配列と言うものがあっても、不思議ではないのかも。


 たとえば、1打鍵あたりの運指距離は長くないけど、総運指距離が短くなく、かつ打鍵数も多い配列だと、普通は【運指速度の天井】を捉えて、それを押し上げるために訓練していることになる。
 ……でも、それだと【伝達速度の天井】を押し上げる量は相対的に低くて、十分に訓練しきれない可能性がある。
 そこで、【運指速度の天井】を押し上げることに限界を感じるほど訓練が進んだら、今度はいったん【伝達速度の天井】を優先して押し上げる配列に移行して、そこで【伝達速度の天井】をどんどん押し上げる訓練をする。
 ……で、同じかそれ以上の速度が出るようになってから元の配列に戻ってくると、【伝達速度の天井】はずっと上に上がったのに【運指速度の天井】は訓練してない分だけ下がるから、以前よりも「より速く打てるはずなのに、指がそれに応えていない」状態になる……ここから再訓練をすると、従来はどっちの天井にぶつかっていて速度向上がとまったのかわからなかったのとは違って、【運指速度の天井】だけにぶつかって速度が止まってるとわかる……から、そこを集中して訓練することによって「以前よりもさらに速い速度」に至れるのかも、と。
 #これは、乗り換え元が1.7打鍵系でも、1.3打鍵系でも、関係が逆になるだけで、訓練の姿自体は同じ。


 うーん……こういうタイパーさん向けの配列を作るなら、「タイピングソフトで一般的な出題傾向」と「タイパーさんの一般的な?運指速度」から、機械的に鍵盤配列を作成するほうがいいのかも。
 その配列自体が仮に「楽に元配列の速度に達成できて、全然達成感がない」ぐらいの設計制度になっていれば、そこからさらに訓練を進めて、ずっと上まで行けるところに来てから元配列に戻ると、【元配列を使う自分に、どれだけの伸びしろがあるのかを、体感できた状態】で復帰練習を始めることになるのかも。


 今までは乗り換え前提で「行って慣れたらお終い」の配列提案が多かったけど、今後は訓練前提で「行って来いするため」の配列提案も必要になりそうな予感がする。