「Typewell」における、GANGASさんによる方針が公開された。

(関連: http://members.jcom.home.ne.jp/gangas2/memo.html )

 「配列屋という立場に立ってみると」参戦可能/参考扱いの区分線に「あれっ?」と思うところがある、のだけれど……それは後述するとして。
 「競技の舞台に立てるかどうかと悩む立場に立ってみると」ほぼ満足!と感じる見解でした。


 まず「RとKのバランス」の話。
 設計時点でバランスをきちんと設定していた……と、根っこがぶれていないということを確認できただけでも十分、ですね。
 そして、「本音」として表現されていたことにもホッとしました。

GANGASのランキングはタイプウェルというゲームのスコアを競う場と見なすこともできるし、タイピング技術を競う場と見なすこともできる。どう捉えるかは参加者の自由だが、管理人は後者であって欲しいと思っている。だからランキングトップの人はどこへ行ってもどんな環境下でも無敵であって欲しいし、上位の人は大いに自慢して欲しい。そうなるにはあらゆる配列をも排除したくないというのが本音。
(from http://members.jcom.home.ne.jp/gangas2/memo.html )


 ……で、配列屋として気になったところについて。

で、あれこれ考えた挙句当面次のように取り扱うことにした。
①打鍵数≒入力文字数となる配列はこれまでと同様問題なく参加可能、
②打鍵数を減らすことで入力効率を上げるメソッド(AZIKなど)については参考記録扱いで参加可能。参考記録扱いとは順位を付けずに順位相当としてランキングに反映される扱い。
したがって、②の記録は総合ランキングその他称号ランキングには反映されない。①と②は同一HNで重複登録が可能。②の記録は国語R・国語K・英単語の各ランキングにそれぞれひとつだけ参加可能。
②の表示を具体的にどうするかとか、②の記録のレベルに下限を設けるかどうかとか、ランキング出力スクリプトの修正とかは実際に参加申し出があった時に考えたい。
(from http://members.jcom.home.ne.jp/gangas2/memo.html )

 ……ええと、【打鍵数≒入力文字数】ってのは、たぶん【国語Kで「参戦」するなら、JISかなに近接する条件(濁点分離&シフト無視で1課題≒280打鍵)で打て!】とか、【国語Rで「参戦」するなら、JIS X4063に近接する条件(1課題≒400打鍵)で打て!】ってことを指しているのかなぁ……と。
 #AZIKについて採りあげられていて、Dvorakは従来どおりOK……ってことは、「打鍵数を減らしたものは参考扱いにさせてください。運指距離を短くしたものはそのまま使っていいです。」ってゆー意味にしか読み取れないんですよね……。


 ……この条件が「この文面のままで真」だとすると*1、【かな系についても】こういう配列は「参戦」可能となります。

  • シフトの方式は問わず、「濁点分離形*2」かつ「単字かな入力方式」の配列に限った条件として】新JISかな(JIS X6004)、花配列および月配列系(たとえば月配列2-263とか、あるいは月配列4-698あたり)、もしくはその周辺配列。
    • JISかなでカウントされない小指シフトと同じ理屈で、中指シフトを数えない場合──JISかなと「全く同じ打鍵数」になる。
    • JISかなの小指シフトと、花配列/月系の中指シフトをカウントする場合──JISかなよりも「若干打鍵数が増加」する。

 Qwertyに対するDvorakとかとは、ちょっと事情が違う……様な気もするのだけれど、「運指距離を短くするために配置位置を変えた」という意味ではすごく似てるし、打鍵数は減ってない(というか、散々NICOLA関連文書で「打鍵数が増えてる」っていわれ続けてきた)ので、技術的なところと現状とをあわせて考えるとこのグループ「だけ」は現時点で既に、Typewellに「参戦」する資格があるのかも……と、勝手に想像してみたり*3


 それから、【ローマ字系については】GANGASさんが現在提示している条件を満たす範囲での配列として、たぶんこういう配列が出て来るんじゃないかなぁ……と。

  • 総運指距離を1ミリでも短くするために、【QRTYU@GHB】に「ローマ字入力では低頻度な文字」を割り当てる。
  • 連母音は打鍵省略での処理が出来ないルールなので、「母音・半母音・撥音拡張もどきは利き手のアルペジオで処理」する(……ので、当然「利き手側に母音と半母音を配字した」配列になる)。
  • 促音(「っ」)は、1キーで出せるようにする(これは打鍵数が変わらないのでルール違反ではない。非利き手側の連打鍵を回避するために任意で使用するもの)。

 ……って、こいつは「速く打てるかどうか」については知りません。
 ただ、GA系の配列とかを見てきた感じだと、たぶん行段系は、こういう範囲で文字を打つ配列に行き着くんだろうなぁ……と、そんなことを考えてみたり。


 ……ということで、とりあえず「きちんと【参考扱い】にしてほしいと自主宣言する」なら、現時点で「Typewellで出した結果を送信してもオッケー」ってことで。この判定はすごくうれしいです。
 そして、「新JISかな(JIS X6004)」「花配列」「月配列2-263」「月配列4-698」などの「(両者のシフトキー打鍵を無視したときに)現行JISかな(JIS X6002)と必ず等しい打鍵数になり、(両者のシフトキー打鍵を無視しないときに)現行JISかな(JIS X6002)よりも打鍵数が増加してしまう」配列で参戦する場合は、GANGASさんに判定をお願いしてみるべきでしょう……Qwertyに対するDvorakと同じように、たぶん「条件を満たした配列なので参戦可」という判定をいただけると思います*4
 #説明方法がわからない場合は、ここの記事URL( http://d.hatena.ne.jp/maple_magician/20090321/1237631880 )をひいてもらっても構いません。


 ……ええと、この記事の考え方(方針の解読方法)がまちがっていたら、私は泣きます、たぶん。

2009年3月21日22:29:24追記。

 個人的には、はじめから↓に思いっきり甘えて「参戦条件」に関する拡大解釈をしようかとも考えた……のですが、今日の記事ではそれを「完全に」抑えてみました*5

GANGASのランキングはタイプウェルというゲームのスコアを競う場と見なすこともできるし、タイピング技術を競う場と見なすこともできる。どう捉えるかは参加者の自由だが、管理人は後者であって欲しいと思っている。だからランキングトップの人はどこへ行ってもどんな環境下でも無敵であって欲しいし、上位の人は大いに自慢して欲しい。そうなるにはあらゆる配列をも排除したくないというのが本音。
(from http://members.jcom.home.ne.jp/gangas2/memo.html )

 あくまでも「いまDvorakでの参戦が認められている理由」と「Typewellにおける打鍵数の扱い方」から導き出せる、「これだけは確実に参戦できる!」と感じた配列のみを、きちんと紹介しよう……と、そこを目的にしています。
 いろいろな配列を使う方が「正しく参考成績を投稿」し、なおかつ今回の方針に対して厳密に合致する配列を使う方が「(GANGASさんの判断に従って)正式に参戦できる」状態になれば、もうすこし「タイピング」というものに対する「いろいろな考え方」が広がっていくのかもしれません。
 このあたりは、将来がちょっと(いや、けっこう)楽しみです。

2009年3月22日11:08:48追記。

 一晩考えてみた……のだけれど、「GANGASさんが」Dvorakでの【参戦】を許可したロジックについて、ようやく理解できた気が……。
 「キー入れ替えであってエミュレータじゃないからOK」というのではなくて、そこは「(Typewellの数え方で)どんな課題がでても、おなじ打鍵数で打ちきる入力法だから参戦可能」ということかな、と。


 濁点分離な月系のように「アンシフトとシフトで出る文字が違う」方法について、この点が許容されるのだろうか……というところは少し心配なのだけれど、打鍵数ベースではぴたりと合致しているから、たぶん「即時参戦」が可能だと思う。
 まずは、Typewellで参戦してきた方々のうち、「打鍵数至上主義」の方々にとっても許容できる範囲から、ゆっくりと時間をかけてでも、進んでいければいいなぁ……と。打鍵数を減じなくても運指距離を減じるだけで相当いけるはずだから、このあたりの技術的追求については「色々と面白い事実」が見えてくると思う。

2009年3月23日1:04:09追記。

 よくよく考えてもみれば、【月影配列】も「参戦」条件をクリアしてる……んですね。
 月影配列(濁点分離版)は「打鍵数はJISかなより多い(シフトキー打鍵を無視するとJISかなと同打鍵数)」特徴があって、ゆえにJISかなより打鍵数的に有利になることは「絶対に」ないため、「Qwertyに対するDvorak」と同じように扱うことができる(=先に提示した話とおなじ)……と。
 これはちょっと面白そうかも。

*1:ええと……もちろんこれは「GANGASさんに対する意地悪として書いてる」なんてわけではありません。シンプルにいうなら「GANGASさんにとって&Typwellの現状から見て、既に許容できるであろうと予測される条件」を拾い出したわけで。

*2:濁点を打つためのキーが存在し、かつ「必ず濁点キーを別打ちする配列」のこと。シフト化による濁音とかは、この場合「歪曲」と取られる恐れがあってややこしいので、配列屋としては……現時点では「参戦」できず「参考」扱いとするべきだと考えています。もちろん、「どのキーを使ってシフト化し、濁音カナを出すか」ってところで区別したりせず、「シフトキーを使って濁音カナを出すものは全部ダメ」って考えるほうが、現時点でのガイドに沿っているし、国語Rにおける打鍵数の定義とも噛み合うはずです。

*3:飛鳥系はシフトが多いから……とか邪推してしまったのだけれど、Typewellでは「シフトを数えない」ってことで、現状ではやっぱり「参考扱い」しかありえない……と。あと、濁音側を前置シフトで打つ配列(月配列Ux族)は、シフトキーが「事実上は濁点キーと同じ打鍵コストを強いられている」のだけれど、現状でのTypewellルールが「濁点は数え、シフトは数えない」もののみを「参戦可能」としているので、現時点では「参考扱い」としておくほうが、話の筋としては通ると思う。

*4:……そういえば。NICOLA(親指シフト)については、普通の2親指シフトを使うNICOLA-JとNICOLA-Fは「参考扱い」になるとして、親指シフトキーを1個しか使わず濁点後置する「NICOLA-A」だけは「参戦可能」でしょうね……ここまでのルール解釈がまちがっていなければ、ですが。

*5:「相当に深く思考した上での結論」という雰囲気がにじみ出ている「当面のルール」が提示された以上、私としてはその意思を「可能な限り忠実に変換する必要がある」と考えました……ゆえに「拡大解釈」はできなかった……と。