(メモ)「けん盤配列」経由で運指最適化を行ううえで考慮したい、行段かな系的解法と、非行段かな系的解法の違い。

 競技タイピングに的を絞った運指最適化を「けん盤配列」経由で行う場合、最適化の手法には2つある。
 「利点の裏返しは欠点」ルールはここでも例外なく適用されるので、「どちらが有利か」という考え方は全く無意味である点に注意。あくまでも「どちらが自分にとって配列を組みやすいか&配列を使いやすいか」によって決めるべき。


 一つ目は、行段かな系配列における「空き定義」を利用する方法……それこそ「タイプウェル適応のAZIK」など。
 既存の配列部分を潰さず(=習得した部分はそのまま使える)、「拡張」で処理できる。
 これはひっくり返せば「基本部分への改善にはならない」ことと「配列定義が膨大になること」の2点を生み出してしまう。
 #これは主に「課題が未知であり、例外部分について拡張定義で対策する必要がある」場合に大きな効果を発揮する。


 二つ目は、非行段かな系における「配列定義変更」を利用する方法……それこそ「タイプウェル適応の月配列」など。
 基本部分の配列を含めた改善になり、配列定義の量が変わらないので記憶負担が少ない。
 これはひっくり返せば「習得した部分まで破壊される」ことを意味する。
 #これは主に「課題が既知であり、連接の計算で対処することができる」場合に大きな効果を発揮する。


 私の場合は「AZIKの【ルール】で対処する部分は覚えられたけど、【連想入力】の部分は使いこなせなかった」ので、後者しかとりようがない……という感じ。
 どちらもできる場合は、前者で例外定義を追加していくほうが「変更時のダメージ」が少ないので、前者を選ぶほうがメリットを得やすいと思う。
 個人レベルでの「和文についての自然文入力法改善提案」は、こういった設計時負担の絡みがあって「行段かな系オンリー→行段かな系+非行段かな系の並立」へと変移して行った……というのが、ここ20年くらいの話。
 競技タイピングの分野でも、同じような道をたどって「10年〜20年くらいかけて、ゆっくりと両者が共存する世界へと移行する」のかも。


 ただ、非行段かな系が組みづらいのは「完全手作業で配列を組んだ場合に、配列製作コストがかかりすぎるから」というのが主たる理由なので……たとえば「月影配列」のようなGA配列をフレームとして使って、こいつを評価打鍵で練り上げていく*1……とかいう手順簡略化方法を取れば、もしかすると比較的短期間に「非行段かな系についてもイケる」時代が来るのかもしれない。

*1:何度か書いてるけど、こいつを一番はじめにやったのは、たぶん「JIS X6004-1986(新JISかな)」。将来オフィスワーカーになるであろう「女子大生」複数人による人力評価打鍵フィルタを用いて、新JISかなは「ふるいに掛けられて生き残った配列」なわけで。……もっとも、「全域手動GA」などという厳しい条件が付いた場合は、そこから14年後の「飛鳥カナ配列」を待たなきゃいけなくなるけど。