Typewell国語KとTypewell国語Rの間に、誤差が出現「してしまった」理由……の妄想編。
詳しくはGANGASさんに聞くべき……なのだと思うのだけれど、配列屋?なりに「妥当と思えるはずの」推測を試みてみた。
初期のタイプウェル。
当時のワードセットをシリアルに「単語間パッド(スペースキー打鍵)あり」で打った場合、「JIS X4063ローマ字打ち」と「JIS X6002かな打ち」での打鍵差が【400:280±0.5】だった。
この時代は、1課題あたりの打鍵数差について、そもそも誤差が±0.5打鍵に収まっていた。
その後のタイプウェル。
語の追加・変更・削除を行ってきた(この過程は http://members.jcom.home.ne.jp/gangas2/memo.html でそのつど公開されている)。
現在のタイプウェル。
語の追加・変更・削除を行ってきた結果として、いつのまにか「国語Kはロマかな6打分(≒JISかな4打分)くらい、1課題あたりの負荷が増えた」とか「国語RはJISかな4打分(≒ロマかな6打分)くらい、1課題あたりの負荷が増えた減った」というバランス崩れとして現れるようになった。
現在の負荷差(JISかな数えで4打、JISX4063ロマかな数えで6打)を時間換算すると、1課題あたり「60秒ちょうど」で打つ人にとって「857ミリ秒」のコスト差として現れる。
考察。
わたしがああいう大規模サイトの運営にかかわっていたら、たぶんこう考えるだろうなぁ……と思う。
- もともとは「平等に競技できるようにと、注意深く」打鍵数差が設定された。
- 誤字の修正や地名変更など、ほぼ不可抗力でワードセットの変更を余儀なくされてきた。
- 結果として平均負荷は変わってしまったが、現時点では既に「平等に
凶器競技できるように、1課題あたりの打鍵数を変更したい」と提案できる状況にはないため、それを行えずにいる。
今後。
2つの方法が考えられると思う。
一つは「従来のルールのまま」とする方法。
これは「日本語入力」という意味においては誤っていても、「タイピング技能計測」という意味においては誤っていない。
もう一つは、ここまでの仮定が正しかった場合にのみ適用可能……な方法として、「国語Kに限り、実行時に【ワードセット全体を打った場合、JISX4063ロマかなとJISX6002かなでの打鍵数比がどうなっているか】をチェックして、JISX4063での400打鍵に相当する打鍵数を【そのバージョンでの国語K打鍵数】として、動的に1課題の打鍵数を決定する」というものが使えると思う。
ワードセット側に静的な方法で「国語Kで打つべき打鍵数」を記録すると、いつか「ズル」をする人が出るかもしれない……ということも考慮すると、毎回起動時に動的検査をするほうが現実的だと思う(し、更新ミスなどによる混乱が起きずに済むというメリットもある)。
「国語A」について。
「国語Aのためのランキングシステム」を維持管理するのが大変だと思う。
タイプウェル憲法のような、自動登録システムが、どうしても必要になるだろう……と。
「国語Aというソフトウェアそのもの」は、シンプルに作るのならば「国語Kのうち、1課題の決定要素を【清濁分離なし*1・単語間パッド(スペースキー打鍵)ありで250文字分】とする」だけで、きちんと成立すると思う*2。ただし、「国語Aは国語Kの名前変更版(プログラム名とランキング系のみの変更)として、課題については「JISかな換算」の課題を打たせる」という方針も、たぶんアリ。
チートについて。
「ある操作列が、ある文字列に変換される」という一定のルール──それを人は「けん盤配列」と言う──のみで構成される入力法を使う限り、そいつは「チート」ではないです*3。
タイピングソフトにおけるチートとは、「配列としてのルールを使うことなく、打鍵列から推測補完で文字を補う方法」とか、「Captcha破り技術を応用した方法」とか、そういうのに限られると思う。
タイピングソフトが「打鍵数によって能力を測るもの」だと言う現状がある……というのはわざわざ否定したりしないけれども、それ以前にタイピング技術は「入力数によって能力を測るもの」だと思うんですよね……。というか、だからこそ今「タイプウェルFT」が存在するのでは?という気がするのです。
さいごに。
タイパーさんの間で、けん盤配列に関する「認知」が広がりつつある……ということに、素直に感謝しています。
「Qwerty/JISX4063ローマ字入力」をお使いの方や、「JISX6002かな入力」をお使いの方をも含めて、「知識として」他にもけん盤配列が存在していて、同じように使うことができるのだ……というところが、より認知されていくといいなぁ……と思っていたり。
*1:たとえば「が」を「か゛」という風に分離しない、という意味。
*2:この場合、JISX6002かなは「JISかなユーザさんによる人力入力のためのインターフェース」であると同時に、「他の翻訳ソフトウェア経由で打鍵する人にとっての、ソフトウェア→パソコン間インターフェース」としての役目も果たす……と。QwertyロマかなよりはJISかなを経由する能力を持つソフトウェアのほうが豊富&運用しやすいと思うので、ベースとするのは国語Kが適当だと思う。
*3:こいつらがチートにならない理由は単純で、「入力手順が少ない入力法ほど、1定義の入力により大きなコストがかかったり(たとえば親指シフト系とか)、あるいは定義全体を覚える&再生するためにより大きな記憶コストがかかったり(たとえば速記系配列とか)する……という負担がそれぞれにあって、結局は【打鍵で苦労するか、あるいはそれ以外の部分で苦労するか】の違いでしかない」……という、そのあたりのコスト負担感覚の違いでしかないからなのです。そういう負担をすっ飛ばして打つことができる入力法を作ろうとする場合、そもそも予測変換orCaptcha破りなどのような手法を使うしかないので、それらの「配列ではないもの」に関してはさすがにチート扱いしてもいいのではないかな……と。あと、チートかどうかは「キーボード真上+画面取り込みの同期合成による打鍵動画」と「配列定義ファイル」の公開によって、周囲の方々から判定してもらえばいい話なんじゃないかという気も。で、「ある操作列が、ある文字列に変換される」という条件さえ満たしていれば、「音声入力」もまた、国語Aにおいては有効なんじゃないかという気がする(スペース打ちまくりの単語列を、市販の自然文入力用音声入力ソフトがうまく認識してくれるのかどうか……という不安はあるけれども)。