けん盤配列スレッドメモ。

 飛鳥カナ配列スレッドより。

927 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2009/02/15(日) 14:31:40 0
今、飛鳥最新版を試し始めたんだが、
「そのころ」とか「それぞれ」ってのは打ちやすいつもりで
ここに配置してるの?


「おならぷー」はすごく打ちやすいんだがw。


928 名前:927[sage] 投稿日:2009/02/15(日) 14:54:59 0
う〜ん、単においらが同手シフトを苦手としているって
だけの事かもしれんね。もうちょっと頑張ってみるか。


(from http://pc11.2ch.net/test/read.cgi/pc/1174639472/907-928 )

 「おならぷー」は、「なお」と「なら」と「ー」の打鍵プロセスが軽負担でイケるから……って、たぶんそれを解っていて書いてらっしゃるネタなんですよね^^;。


 んー……飛鳥の場合、「短く発話されやすい」パターンに対して「速く打鍵しやすい」打鍵列をマッチングさせている、と言えばいいのかなぁ。
 たとえば「かんたん」とか「かいかん」とか「きょうぎょう」とか「しゅんかん」とかよりは、「そのころ」とか「それぞれ」のほうが打ちにくくても、それでいいじゃん!という感じ、とも。
 このあたりは、「全体の総打鍵時間が短くなるように設計する方法(GAや総当り法が適する、はじめから全体最適を目指す方法)」とはまるっきりアプローチが違う「部分最適の積み重ねによって全体最適を狙う手法」なので、説明が「後出しのグダグダ」になるのは「ある意味し方がない」のかなぁ、という気もします。
 #でも、「ギャラリーどころか、優良顧客候補にまで噛み付く*1」やり方はマズいと思います。


 全体最適だけで組み立てれば「説明は簡単」だし「確かに全体の打鍵は速い」のだけれど、人間が感じる打鍵速度というのは「局所最適が積み重なっているかどうかに左右される部分が大きい」ので、【全体最適オンリー】と【部分最適の積み重ねによる全体最適志向】のどちらが良いと感じるかは、それぞれの考え方次第で変わってくるんじゃないかと思います。
 世間的には、【全体最適オンリー】も【部分最適の積み重ねによる全体最適志向】も受け入れられにくくて、たいてい【部分最適の単純連結のみで突っ走る】癖*2があります……ので、けん盤配列において【全体最適オンリー】とか【部分最適の積み重ねによる全体最適志向】といった方法を採用する例が増えていることは、個人的にはいい方向だと思います。


 ……で、「そのころ」とか「それぞれ」は打ちにくくていいのか?ということになると、結局は「それを打ちやすくすると、他に影響が出るから無理」というふうに言うしかないような。
 「そのころ」配列とか「それぞれ」配列とかを作る……という方法はあるのかもしれませんが、それを優先して「かんたん」とか「かいかん」とか「きょうぎょう」とか「しゅんかん」とかいう【繰り返しパターンと、それに絡むパターン】が打ちづらいことを許容してしまうと、けん盤配列としての有用性が一気に落ちてしまう可能性があります。
 このあたりは、たとえば「自然文入力を全く考慮していない」けん盤配列を用いると、特に解りやすいかもしれません。
 手元で言うところの【月影配列】はモロにそういう性質を持っていて、「膠着語としての日本語自然文を打つことを全く考慮していない」けん盤配列ならではの打ちにくさが、おそらくはシャドータイピングレベルの評価打鍵でも感じ取っていただけるのではないかと考えています。


 あと、(元レスにはない余計な話……として)「新配列による効率向上と、慣れによる効率向上」の差についても一言。
 新配列の使用によって「慣れた結果の最大効率」は上がります……ので、なるべく新しいけん盤配列を使うという考え方は有用です。
 ただし、「微細な変更」のたびに配列を覚えなおすよりは、「慣れによる効率向上を温存する」ほうが学習効果を活かせるので、一度使い始めたら「1年〜2年は新版への移行をしない」と決めてしまうほうが良いかも。


 「慣れによる打鍵時間減少」と「配列変更による改善」との関係は……X軸に慣れ量をとって、Y軸に配列の深化をとった場合、それこそ図で書くと「Z字」のようにジグザグな線になります。
 慣れていくと右方向に向かって「慣れによる速度向上」があって、配列を変更するたびに左下方向へと向かって「配列変更範囲が広いほど速度が落ち込む」現象にあい、そしてそこから再び慣れていくと右方向に向かって「慣れによる速度向上」があって……というかたちで入力速度が変化します。
 「今、自分がどの辺に居て、次に自分がどういう入力をしたいか」というところを見据えた上で、けん盤配列の乗り換えタイミングを考慮しないと、【一時的な速度低下という目の前の現象に引きずられて、その先にあるものが見えなくなってしまう】ことがあるので、そのあたりに注意する必要があるのかもしれません。


 いずれにせよ、「新しい配列を試してみる」ってゆーのは、手軽に体験できる作業改善/動作改善という意味では面白い分野だと思います。
 より多くの方に、こういう分野に首を突っ込んでほしいなぁ……と、私はそう願っています。
 #というか、シフト方法の変更を含むとなると「工程改善」レベルの大きな変更になるのかも。

*1:ブログで「導入方法」を尋ねた方を「追い返しちゃった」事件とか……。

*2:これが「ロット生産=善」→「在庫=必要なもの」となり、結果として「小回りが効かずにややこしい問題を沢山抱えたまま突っ走る」大量生産依存症の企業を作り出す原因になっていたり。こういう癖は一気に直そうとしても無理なので、この問題を解消しようとする企業は「四半世紀をかけて直していく」覚悟を決めてやってるようです。