もしも「私の父親が」同じ立場だったとすれば、私はどう考え、どう行動するだろうか……ということを考えてみるテスト。

(言及:お世話になります。 私の父(60歳)が、ローマ字入力ができない… - 人力検索はてな)


 1年半も前に、はてなでの質問自体は終了している……ようなので、とりあえず記事としてあげておくことにします。
 うちではすでに自力で習得してしまったので、全く同じ状況にはなりえない……のですが、「もしも私がそういう立場に立たされたら、どう考えるだろうか」というところについて、ぱっと考えてみた結果を、以下に記してみます。


 ……さて、moffet1さんのお父様は、そもそも
・「英字」と「(訓令式/ヘボン式などの)ローマ字つづり」を勉強しようとしている。
・「ローマ字入力」を勉強しようとしている。
・「パソコンを使った日本語入力」を勉強しようとしている。
のうちの、いずれの状態なのでしょうか。
 もしも仮に一番はじめの条件ならば、パソコンのローマ字入力(JIS X 4063つづりという、特殊なつづりが使われています)を勉強したところで「本物のローマ字記述」はできませんので、本物のローマ字文を書くためのテキストを入手される必要があるはずです。
 ……が、今回の話はこういったことではないようですね。


 パソコンを使った日本語入力を勉強しようとする場合、それがどんな入力法であっても(もちろんローマ字入力であっても)、ローマ字つづりは全く覚える必要がありません。そこに時間を掛けるべきではなく、はじめからキーボード入力の練習に時間を割り振るべきです。
 私には、「ローマ字入力をするためにはローマ字を覚える必要があるという迷信」がいまだに残っている理由は理解できないのですが、これは私の主観だけで言う話ではなく、実際にこの考え方を実践する練習法が存在しています。
 http://homepage3.nifty.com/keyboard/
 ぱっと見では「インチキ臭い」と思われるかも……という心配があるので、もしも不安でしたら、Googleにて「増田式」というキーワードで検索してみることをお勧めします。さまざまな入力法に対して有効性があり、十分信頼できるメソッドである……というところがご理解いただけるものと思われます。
 増田式に関しては、最もお勧めなのは「メール通信講座」です。
 http://homepage3.nifty.com/keyboard/application.htm
 3万円近くかかりますが、応用行動分析の観点から見る限りは「メールによるやり取りがあること」が最も学習効果が大きいため、十分コストに見合う結果が得られるはずです。


 つぎに、増田式では金銭的につらい……という場合の回避方法についてですが、個人的に以下のようなコンテンツを公開しています。
 http://www.eurus.dti.ne.jp/~yfi/kaede-method/index.html
 ここで頒布しているPDFである
 http://www.eurus.dti.ne.jp/~yfi/keylayout/bin/kaede_method_source.pdf
 の、11ページ目に「ローマ字つづりを一切使わずに、位置でひらがなを出す方法」を書いています。
 この11ページ目を大きく印刷してパソコンのディスプレイ横に貼っておけば、ローマ字つづりについて全く意識することなく、ローマ字入力モードのままで文字を打てます。
 もともとはタッチタイプを習得するための教材として作成しましたが、それにこだわることなく「このシートを見ながら入力する」ためにも使うことができます。


 つづいて、「ローマ字入力モードのままで、ひらがなキートップを押してひらがなを入力できるキーボードを購入して使用する」という方法についてご紹介します。
 http://www.knc.jp/akasatana
 このキーボードは、もともと「JIS X 6002かな入力法をパソコンで使う上での面倒さ」に対する解決方法として提案させていただいた、以下のアイデアを採用していただいたものです。
 http://japan.cnet.com/blog/margin/2007/09/16/post_88cf/
 ひらがながかかれたキーを押すと、そのひらがなに対応する JIS X 4063つづりのローマ字が送出される、ちょっとかわったUSB接続キーボードというカタチでリリースされました。以下のような操作動画が公開されています。
 http://japan.cnet.com/blog/margin/2007/10/08/post_2dc8/
 濁音・半濁音・小書き文字の入力時には「専用シフトキーを押しながら、ひらがなキーを押す」という面倒なルールがあるものの、このルールを適用することによって他の制限をほぼ排除しています。
 このキーボードは「ローマ字入力モード」で使えるため、普通にローマ字入力で使われているパソコンに接続しても、一切「カナロック」を触りません。共有パソコン一台だけで「ローマ字入力と共用し、共生する環境を作る」ためには、この方法が最も再現性・持続性が高いと思われます。


 もしも「JIS X 6002かな入力法」を選択することが許容されるのならば、以下のような製品がお勧めです。
 http://iwatadesign.com/
 もともとJIS X 6002かな入力の基となった「カナタイプ」という入力法は、バーナム・クース・スティックニーさんという方が「目で見て探しやすく、その範囲内で打ちやすいこと」を目指して作成されたようで、中指の長さを意識した使いやすさを目指して作られた形跡があります。
 残念ながら、カナタイプからJIS X 6002かな入力へと移りゆく過程で、カナタイプが本来持っていたうち易さ(特に数字の入力しやすさ)は捨てられていきましたが、製作者さんの意図をくむ形で「色分けによって意思を表現しなおした」のが、上記のキーボードです。
 このキーボードをお使いになる場合、先に示したPDFである
 http://www.eurus.dti.ne.jp/~yfi/keylayout/bin/kaede_method_source.pdf
の、9ページ目に、文字を50音順で探すためのシートを書いています。


 いずれにせよ、私自身は「○○という物を使って、○○という方法でやるべきです!」などという風な、何らかの方法を優先的に提案するような真似事をするつもりはありませんし、そういう行為が最もまずいということを何度となく経験してきています。
 願わくば、moffet1さんご自身からも特定の方法を優先して提案されたりせずに、この4つの方法をそのままご本人様にご提案いただき、ご本人様ご自身の判断のみによって、いずれかの方法をご選択いただくのがよいのではないかと思われます。