Re:親指シフトレポート

(言及:親指シフトレポート)


 こんにちは、「遅すぎる動画」の中の人ですorz。
 長くなってしまったので、斜め読み推奨です……。


 高速打鍵動画による証拠というのは、私も見たことがないので困っている(それがあれば即時私の動画を非公開にしたいくらい)のですが、Typewellによる速度評価では、以下のようなものがtomoemonさんの手により公開されています。
http://d.hatena.ne.jp/tomoemon/20071219
 タイプウェル国語K(JISかな280打鍵、ロマかな換算で400打鍵)なので、飛鳥の230打鍵換算で「35.9秒」となりますね。


 やまぶきの不都合については、手元で同様の不都合が再現できていないので、どういう状況なのかは判りませんが……やまぶきを再起動するかわりに「カタカナひらがな」キーを1回押して解決しませんか?
 根本的な対策(うちでまともに動いている状況を、そちらでも再現できるようにすること)については、今のところ思い当たる方法がありません……申し訳ありません。


 ローマ字入力……というか行段系全般は、基本的に「(子音─子音─)母音(─母音)」の組み合わせで文字を打つので、指を動かしていくパターンがそう多くはなく(数百個程度)、運指を「指が覚える」までには、そう多くの時間はかかりません。行段系はこういう構造を持っているため、省打鍵手順が少ない入力法ほど強力に「打鍵操作数は数割多くなるが、覚えやすい」という印象を受けやすいようです。
 それに対して、かな系(特に親指系や下駄配列など)では、かな同士の組み合わせが指を動かしていくパターンの数と一緒で多い(親指系では数千通り程度)ので、運指を「指が覚える」までに、結構多くの時間を費やしてしまうようです。
 かな系は「1アクションで一文字が出てしまう」ので、ローマ字入力のような「パターン数の少ない子音─母音アクション」と同じように、かな系で2アクションまでを高速で打てるような段階を目指すとなると、すべての組み合わせを指が覚えきってくれる段階まで使い続けないといけません……このあたりが「かな系は速度が上がるまでに時間がかかってしまう」理由なのだと思います。
 配列を変更すると運指パターンも異なってくるため、NICOLAをお使いになっていた期間の長さが長くとも、それが飛鳥の増速にとっては役に立たない……ということになってしまうのには、こういった運指記憶の問題が絡んでいるのかもしれません。


 入力速度については……
http://www.massangeana.com/mas/charsets/oyayubi.htm
にあるものの中では、少なくとも増田忠さんによる速度の話が、私からみても正しいと思います。
 ローマ字入力よりも(打鍵数ではなく)キーを押す数が多く、総運指距離も長い……という方法へと乗り換えしようとしているのであれば、ローマ字入力に追いつくことができないという可能性は否定できないことになります。
 ただし、Qwertyローマ字入力→飛鳥カナ配列ですと、(シフトキーを別に数えたとしても十分に)キーの押下回数自体は少なくなりますし、総運指距離は下の資料によれば2.6分の1へと減少するようですので、指が配列を覚えきった後の速度については、「Qwertyローマ字入力=飛鳥カナ配列」となるか、もう少し良くなるはず……と思われます。
http://homepage3.nifty.com/gicchon/sub20.htm


 「楽である」の部分については、単純に「同じ速度で文字入力できるようになったときに、操作するキーの数が少なくすむ」というところを指し示すしかないよなぁ……と。
 そこから先の、「操作するキーの数が少なくすむ」部分を、楽さ(=余裕)を維持するためにそのままにするか、余裕の部分を切り詰めていって速さの向上へと振り分けていくか……というのは、使い手の方ご自身の判断によってなされるべきだと思いますので、私としては口出しできることではないと考えています。


 ここ数年、けん盤配列関連について見てきましたが、飛鳥のネックは、結局のところ「(かな系の中ではかなり)覚えるために時間がかかる」というところにありそうだと感じています。
 私自身、使っていて「どうしてもたまに忘れてしまう文字がある」という事がありまして、結局は配列を少しいじって「かえであすか配列」なるものを作ってしまいました。
http://www12.atwiki.jp/kaede-asuka-layout/
 私の場合、「覚えられるかどうか判らない低頻度のひらがなを覚えるために、徹底的な練習をするというのはどうにもつらい」と思いまして、結局はこういう方法をとることにしました。
 作者のRayさんは「徹底的に覚えよ!」というスタンスをお持ちのはずなのですが、私にはどうもそれをまねできる気はしないようで……。


 結局のところ、(ローマ字入力などの行段系と比較すると)かな系は原理的に「さっと使い始めて、ぱっと覚える」ということができにくい仕掛けですので、どうしても「じっくり取り組んでいただく」しかないのではないかな……と、わたしはそう考えています。
 ……って、入力速度の遅い「ただの作業改善ヲタク」が言うことなので、信憑性がないかもしれないですね……orz。