らくらくホンIV(FOMA F883iES)を触ってみた。
うーん……ケータイを触って「ソフトウェア関連に感動した」のは、かなり久しぶりかも。
ケータイじゃない奴(PHS)に関しては、W-ZERO3[es]──というか、それで使えるctrlswapmini──に感動したし、ハードウェア的にはSHARP/Softbank812SHのテンキーボタンインターフェースが気に入っていたりする……のだけれど、FOMA F883iESのインターフェースは「わかりやすさの勘所をバッチリつかんでいて、さらに改良の余地がまだある」という、とても興味深い状態でした。
ハードウェア部分については、とにかく「サイトメソッド入力を行いやすくする気配り満載」で、これはもうそのままでいいような。
タッチメソッド向けの工夫を行う価値はあると思うものの、あまり過激にやるとSHARP/Softbank812SHスタイルに近くなってしまって「角ばったボタンインターフェース」になってしまう……そっち系は富士通にとってあまり得意ではない印象もあるから、結局今のままが一番「富士通らしさ」がでていてよいと思う。
ソフトウェア部分については……気になった点は2つだけかな。
- 赤外線通信による電番/メアド交換機能の呼び出し方法については、従来どおりの「自局番号表示(F0)」のみではなく、トップメニューの一番下(特定のキーには割り当てない)もあるほうが良いかも。
- ほかの機能とは違って「機能の関連付けがしづらい」ものなので、これはトップメニュー下にあるほうがいいと思う。
- 操作するべきキーを画像で表示する「キーガイダンス」について、それがまるで「背景画像のように見えてしまう」デザインになっているところを変えるべきかも知れない。
- キーガイダンスがあるということを既に知っているユーザーにとっては問題はないが、全くマニュアルを読まずに使い始めたユーザに対してアフォードする力は弱い。
- (ハードウェア側コストアップの要因になるので難しいものの)キーガイダンスとキートップ照明を同期させて、「順繰りに機能を強調説明する」という手法もありえる。
……ほかは特にケチの付けようもなく、「見やすく使いやすいケータイ」というカタログイメージそのままの製品に仕上がっている点は◎。
結局、富士通はこういう「HID(ヒューマン・インタフェース・デバイス)絡みがウリの完成品」を作らせると、他社ではそう簡単には真似のできないような代物を作る力があるんだよな……だからこそ、わざわざFMV-KB613をつくるんだろうな、と、妙に納得してみたり。
そういえば。
FMV-KB613の価格が妙に高いのは「キーボードとしては小ロット品なのに、無理やりRoHS指令に対応させたから」という可能性も……。
RoHS指令に対応するには、鉛入りハンダが使えない。
↓
鉛フリーハンダに切り替える。
→高温ハンダ付けが必要で、高温処理対応の部品へと切り替えた。
→自動ハンダ機器の喰われ対策で、機器の改修or更新をした。
→プリント基板・リード線の喰われ&芋ハンダが起きやすく、歩留まりが悪くなる。
↓
生産性が下がる
↓
販売価格を上げるしかない
↓
型番変更……と、こんな感じなのかも。
日本版RoHSが何時始まるのかは知らないけれど、「KB611の売れ残りがある状態で日本版RoHSが始まったら洒落にならない」だろうから、いまのうちから売り切って切り替えるのは、ある意味仕方がないような気も。
……やっぱり、もうすこし「一般に【も】売れる、親指シフトキーボード」の方面で攻めないと、将来的にはまずいような……うーん。