図解! あなたもいままでの10倍速く本が読めるを見つつ、あまり関係ないことを書いてみる。

(過去: http://d.hatena.ne.jp/maple_magician/20070629/1183043450 )


 ……前に書いたことを書き直してみただけの、単なる仮説。

  • レイヤ0:観察者(≒世間様)が知らない世界
私×著者 著者には認識できる 著者には認識できない
私には認識できる 共通認識(当事者にしかわからない既知の著者) ★内的認識(完全に自分しか知らない著者)
私には認識できない 外的認識(完全に著者しか知らない著者) 暗黙的認識不能(すべての人にとって未知の著者)

http://d.hatena.ne.jp/maple_magician/20070221/1171988348

 普通の著書は、当然「著者の知識と記述が全て書かれているわけではない」というところがポイントになる。


 ある著者が小説を書くときの書き方は、だいたいこんな感じらしい。

仮名 役目 読者からの可視性
要請 コンセプトの確定 まったくない。
種書き キーワードをつなげて書く まったくない。
骨書き 種書きの整理、企画書化 まったくない。
筋書き 企画書を展開し、大まかな話を作る まったくない。
肉書き 大まかな話に詳細を記述する まったくない。
皮書き 詳細の記述に対して推敲をする ここだけを見ることができる。

(from 冲方式ストーリー創作塾 pp.21-56、ただし我流の勝手な解釈を含む)

 普通は「皮書き」しか見ることができない……のだけれど、そこから逆順にたどっていって「著者が何を狙い、何を考え、何を調べて書いたのか」を推敲してみることは、推測レベルであれば可能。
 #引用した文献の情報があれば、もう一段深く推敲できるというおまけが付く。


 ……とすると、「著者が言いたかったことは何か」を考えようとすると、必然的に「キーワードやキーセンテンスを拾ってきて再構成する必要がある」と。
 全文を読んで租借咀嚼してからレーティングするのが「普通の読み方」で、はじめからキーワードやキーセンテンスだけを拾ってきて推測するのが「速読」なのかも。


 普通、文章を書くときには、【目の前にいる人に対して説明する】時よりも、はるかに多くの労力を要する。
 なぜ?って、それは「相手の知識レベルや思考方法がわかるわけではないし、相手に問いかけながら交互に話を進めていくこともできない」から。
 情報が小出しにできるプロトコルを採用していれば問題にならないような事柄でも、片方向通信でしかない書籍でやろうとすると大変なことになるわけで。


 そうすると、「目的を持たずに全ての文字を読んでいく」のは、ある意味冗長な作業になることもある……から、キーワードだけを拾う方法でも「拾い方のコツさえつかめれば、文章の大意は理解できる」ことになるはず。
 フォトリーディングで「読み直せば読み直すほど理解できる」というのは、ある意味当たり前。肝心なことは、「一回目で、何のノウハウもなく読むよりは理解できる可能性が高い」ということなのでは。


 ……でも、この「ノウハウ」というのが良く解らないんですよね……。
 タッチタイピングのような身体感覚化技術であれば「習うより慣れろ」「よき指導者について学べ」はそのまま有効なのだと思うけれど、果たしてそれと同じなのかどうか。
 個人的には、

ザ・マインドマップ

ザ・マインドマップ

のような厚手本のフォトリーディング版が欲しいのだけれど、いまのところは該当する本は実在していないらしく……orz。


 いまのところ、

図解! あなたもいままでの10倍速く本が読める

図解! あなたもいままでの10倍速く本が読める

についての個人的評価は……「本の読み方に関するノウハウがまとめてあって、個々の技術は面白いと思う。でも、これは私が望んでいる読み方じゃないよ……」という感じか。
 とにかく引っかかるところは「キーワードを拾い出してどーにかしよう」というところ。
 ほかのところ……たとえば「(仮想の)著者に質問を投げかける」という外部アクセスを連想させる方法については、私の場合「(仮想の)著者が考えていることを読み取ろうとする」という内部アクセスを連想させる方法で代替しているけど、このコンセプト自体は、書籍について【字面の丸暗記ではなく、記述の意図を理解しようとして読む】ことしかできない限りは、読む範囲が全部であっても一部であっても、変わることなく十分有効に作用するはず。


 タッチタイプができなかった時と似た感覚だったりするところは、自分でも興味深いと思うのだけれど……タッチタイプは、入力法の選択さえ間違えなければ「正確さを上げて、なおかつ速く楽で快適に」を達成できるのに対して、フォトリーディングが同じなのかどうかは気になるところで。
 とりあえず、一部分でも納得できない部分があるうちは、取り組んでも成果なんて上がるはずはない*1から……今は保留か。

*1:こんな状態で講習に参加した日には、周囲にまで迷惑をかけてしまう可能性が高い。