交互打鍵率最優先の配列では「ダダダダダダ」が最適かも……で、交互打鍵率以外にも重点を置く配列はどうする?。
(参考: http://d.hatena.ne.jp/actbemu/20050203/p1 )
(参考: http://d.hatena.ne.jp/kettt/20070414 )
今までずっと、打鍵テンポというものは、木村先生の表現による「ダダダダダダ」が「どの入力法においても最適」なのだと思い込んでいました……が、もしかするとこれは「時と場合によって異なるんじゃなかろうか」と思いつつあります。
#交互打鍵率が高ければ高いほど、「ダダダダダダ」の定テンポ打鍵は有効性が増すはずです。
一つ目の理由は……最近同じ本ばかりを取り上げているので食傷気味かもしれませんが^^;、こちらから。
- 作者: 大野耐一
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前者は陸上競技のリレーをさして「速い人がバトンタッチゾーン中に頑張ることで、遅い人の分をカバーできる」ことを理由にあげ、後者は「作業者同士が助け合いをできる環境をつくることで、互いに助け合ったり工夫しあったりできるようになる」ことを理由にあげています。
……これって、日本語入力法の「設計」や「利用」とも密接に関わってくるんじゃないかな……と感じました。
そして、この場合は対象が「人」から「指さん」に変わる……と。
運動系競技において「瞬発的な速さ」と「持続的な速さ」は別々に訓練される&見出されるべきもの……という認識でいますが(注:運動は苦手なので怪しい見解ですけど^^;)、人の手が備える十本の指にも【十本十色の特性がある】上に、手のひら・腕・といった要素も絡んでくるだけに、このあたりの検討を端折るのはかなり危険かもしれませんし。
以前「飛鳥カナ配列って何?」に余計な(?)追記をしたのですが、その追記部分をここに引いておきます(注:一部追記いただいているところがあります)。
- 両手に対して仕事を均等に割り振ると、「遅いほうの手で入力する速度」が入力作業全体のパフォーマンスを決定し、早いほうの手で入力する速度が十分に生かされない可能性もあります(一般に、これは習熟していくことによってのみ(努力によってのみ?)解消されますが、飛鳥はこの問題を設計側で解消しようとしています)。
- 遅いほうの手で入力する作業量と、早いほうの手で入力する作業量のバランスを適切に設定すると、片方の手にのみ極端な負担や要求をすることなく文字入力ができるため、結果として「素早く入力すること」と「疲れずに入力すること」を両立させることができる可能性があります。
(from http://www29.atwiki.jp/asuka-kana-layout/pages/13.html )
この理屈が「どの入力法でも全く同じ」といえるわけではないものの、少なくとも飛鳥は配列としてこういうポリシーを「見かけ上は」採用している印象を受けました。
もう一つは、ketttさんの配列記憶法より。
記憶方法が固定化してきたので一応ご紹介。
1.2文字の連続を重視する
理由: 運動記憶は一打鍵ずつではなく、前の動作との接続をキーに記憶されるっぼいから。
2.片手の連続を中心にする
理由:「どのキーか」ではなく「手のひらの動き」でやってみる方が覚えが早いので、2文字で動きを作って覚えさせてしまえばいい。結局は交互打鍵にも応用が利く。
3.すでに覚えている文字とつなげて覚える
理由:覚えていない文字同士で「記憶の孤島」を作っても仕方がない。そういう記憶は脳が勝手に削除してしまうので非効率。
(from http://d.hatena.ne.jp/kettt/20070414 )
ここで提示されている事柄はもちろん「記憶法」なのですが、この視点で実際の「打鍵法」を想像してみました。
すると、厳密な意味で「ダダダダダダ」と定テンポに叩くよりも、「つづりに応じて速く打てる部分を圧縮し、速くは打てない部分によるロスを補う」という方法を取るほうがうまくいく入力法というのも、確かに存在するのではないかな……と、そういう感じを受けています。
- 使用頻度の高い綴りほど習熟度が高く、したがって高速に打てる
- 使用頻度の高い綴りを打ちやすい配列であるほど運指&打鍵コストが少なく、したがって高速かつ楽に打てる
以上2点の前提が正しいのならば、最適な入力タイミングというのは「ダダダダダダ」から「ダダッダダッダダッ」にいたる間のどこかにある(→これは固定的なものではなくて、配列や入力中の文字列によって変化する)のではないかな、と感じました。
……以上、ketttさんの記事にある「記憶の孤島」という言葉にピンと来て、アレコレと書いてみました。