1980年前後のかな系配列に対する、素朴な疑問。
NICOLA/新JIS/TRONの3配列を並べたときに、いわゆる「ですます問題」を解決していないのはNICOLAだけ*1だったりするのですが……この理由がいまいちよく解りません。
新JISの場合は「評価打鍵」が効いているとして、TRONの場合は評価基準が「ビジネス文書」であって……でも、NICOLAは「ほぼ半分が話し言葉」という参考資料を基にしているので、この中では一番「ですます問題を自然に解決できているべきでは?」……という気がするんですよね。
3配列共に「かな単独頻度・かな連接頻度」を下敷きにして「人差し指最速論」「下段はなるべく使わない」というところも共通なはずなだけに、余計に不思議で仕方がありません……。
【TRON逆シフト】
小 | 薬 | 中 | 人 | 伸 | 伸 | 人 | 中 | 薬 | 小 | 伸 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
が | で | |||||||||
【TRONアンシフト】
小 | 薬 | 中 | 人 | 伸 | 伸 | 人 | 中 | 薬 | 小 | 伸 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ま | す | 、 | 。 |
【新JISシフト】
小 | 薬 | 中 | 人 | 伸 | 伸 | 人 | 中 | 薬 | 小 | 伸 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ま | ||||||||||
【新JISアンシフト】
小 | 薬 | 中 | 人 | 伸 | 伸 | 人 | 中 | 薬 | 小 | 伸 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
て | ||||||||||
か | ゛ | |||||||||
す | 、 | 。 |
【NICOLA逆シフト】
小 | 薬 | 中 | 人 | 伸 | 伸 | 人 | 中 | 薬 | 小 | 伸 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
が | ||||||||||
で | ||||||||||
【NICOLAアンシフト】
小 | 薬 | 中 | 人 | 伸 | 伸 | 人 | 中 | 薬 | 小 | 伸 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
。 | 、 | |||||||||
す |
【NICOLAストレートシフト】
小 | 薬 | 中 | 人 | 伸 | 伸 | 人 | 中 | 薬 | 小 | 伸 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ま | ||||||||||
「今打ちやすいかどうか」というところ(=使用感の問題)が問題ではなくて*2、「どうしてこれが最適化配列としてはじき出されたのか」というところ(=設計過程の問題)が知りたいのですが……どうにも答えが出てきません。
たとえば「TRONほどの人差し指使用率では高いと判断して【け・げ】と【す・ず】を交換した」とかいう理由があるのかな?と想像してみたのですが、それをやるよりは[Z]に【。】を置いてしまうほうが簡単でしょうし、小指はもともと短いので[Q]に指を移動させると手のひら全体が上に動いてしまいますし……。
仮に「指の長さが全て同じとみなして配列設計をした」とか「指の長さに合わせて設計した鍵盤(例のテストすらされなかった鍵盤)を元に配列を設計した」というのであれば納得がいくのですが……テスト鍵盤は電卓(スクエア配列鍵盤)なので後者の仮説はありえませんし、そもそも「小指は動かしづらいからなるべく固定し、手のひらを動かすための軸として使う」という方針で設計した以上、前者についてもきちんと考慮されているはずなんですよね……。
今のところ、その答えが昨日の「対照配列に対する拒絶反応がもたらした結果では?」というところに行き着きがちなのですが、対照配列では見事に「ですます問題」が割と綺麗に処理できていたりしますし……ますます謎です。
しかも、不思議なことに対照配列の「です。」「ます。」「ですが、」は、飛鳥21c290の「ぴぜたち」「ぎたち」「ぴぜたゃぜば」*3に相当します。
今のNICOLAと同じ清濁同置シフト方式で表現すれば「ぺたち」「ぎたち」「ぺたやば」に相当するので、この点に限っていえば
【ぎ】を除いては結構イケてるのでは?
というか、NICOLA鍵盤ならば【ぎ】も全然イケてるのでは?
……という感じなんですよね。
テストでは「50音近似配列は指がらみが出るので、あまり感触が良くなかった」ということなのですが、この方向性でももう少し弄れるところはあるのかもしれないですね。
それともう一つ。これは「句読点の位置を基準に配列を決定すれば、はじめから防ぐことができたはず」なのかもしれません。
現実に、141Fさんが設計されている「小梅」では、NICOLA互換の句読点&清濁同置ルールを使いながら、しっかりとこの問題を回避している……というか、むしろ「句読点が左右に分かれていることがメリットになるよう、積極的にそれを利用した配列設計をしている」と思うわけで……。
そうすると、句読点の位置そのものが「単独で悪さをする」というのは考えにくいんですよね……配列を用いた入力法である限りは「前後の打鍵や指使いによって、該当キーの打鍵感は大きく変わる」ことは当たり前なのであって、[Q][@]もその例外ではないはずですから。
まだNICOLAの配列決定方法に関する「詳細な資料」というのは見ていないもので、ここまでは全て推測でしかないのですが……とりあえず、この疑問は解消できないまま明日へと持ち越すことになりそうです。
#うーん……あまりに気になって、落ち着いて眠ることすらできそうにありません……orz