「抗菌」の限界。

(from http://kamo.pos.to/dpoke/date20061101.html )

 「nico.( 型番:WS005IN )」抗菌加工モデルの発売について
 「一日一回消毒すれば大丈夫!」とか思っている方は採用するだろうなぁ……と。
 ここで抜け落ちているのは「製品表面に直接接触している細菌にしか効果を発揮しない」という点。条件を出すと……

  • シャーシに微細な傷が出来て、その傷に手垢などの有機物がたまっている状態
  • そもそも清掃しておらず、全体に手垢などの有機物が付着している状態

においては、シャーシ側は抗菌効果があるけれども、非シャーシ側(手を触れる側)まで抗菌効果は及ばない、ということ。


 たとえば、こういう問いが成立する。

  • JIS Z 2801の基準をはるかに超える抗菌性能を発揮する素材を使った便器を使っているが、その便器は使用されており、かつ清掃を行う直前の状態にある。このとき、便器「全体」は清潔か、あるいは汚染されているか。

 ……答えはもちろん「汚染されている」わけで。もちろん、素材そのものには抗菌効果がある(=素材単体では汚染が広がらない)のだから、清潔な状態にするためには「汚染物を除去(=清掃)」すればよい、ということで。
 抗菌素材を使うこと自体は着眼点としてすごくいいと思うのだけれど、抗菌素材と聞いて連想する「清潔さ」を維持するためには、「丸洗い清掃しやすい構造」でなければ意味がない……と。


 抗菌素材がらみで一番困るのが、抗菌剤に耐性を持つ「抗菌剤耐性細菌」だけが「選別されて生き残ってしまう」可能性がある、ということ……ゆえに、結局「清掃を怠っては意味がない/清掃の効果を最大限に引き出すためのもの」という捉え方をしないといけないわけで。


 まじめな話、この手の製品を「本気で」作るのならば、「防水腕時計とケータイの製造経験を持つメーカー」に掛け合うしかないと思います。カシオとか、カシオとか、カシオとか……orz


 ……実際のところは、私がこんなことを書く必要はどこにもないはずです。
 たぶん、これを必要とする現場から徹底的に「丸洗いできる製品を作れッ!」という「強烈なプレッシャー」がかかるはずでしょうし。
 いずれにせよ、医療業界へ売り込むための「きっかけ」としては成功しそうな気がします。あとは今後に期待!ですね。