ソフトバンクの「音声定額」サービス&三重プラン……。

 http://www.rbbtoday.com/news/20061023/35163.html


 ドコモにとっては「省電力・多人数参加が魅力のPTT+1対1のフルデュプレックス」を組み合わせて「ドコモだけ定額」を始めるきっかけになりそうな予感。PTT開始当初から検討はしていただろうし(≒していないはずがない)、シェア半数の実力を武器に「ドコモだけ定額・月額5,880円(税込)&データ定額4,000円(税込)」でも十分行けるんじゃないかな。
 auは微妙だけれども、あそこはもともとデータ系のインフラに強いから、案外と「音声定額・月額5,880円(税込)&データ定額3,000円(税込)」とか、そう言うプランで来そうな気がする。
 正直言って、Docomo/au/Willcomの三社からは「想定内でしょ。」と言われて終わりなんじゃないかなぁ……そんな気がする。


 わざわざ他社は価格戦争を仕掛けたりはしないでしょうね……最低でも200円かそれ以上は上のプライスをつけると思う。
 それに、「他社よりも安ければぜったに勝てる」という代物じゃないんだよね……音声定額は。シェアに比例して魅力が増すという法則があるから、「Willcomよりも安い」程度じゃ説得力がないだろうし。


 しかも、比較対象となるWillcomの端末は「軽いくせに連続通話5時間・連続待ち受け500時間」とかいう代物がざらにある世界。端末の空中線電力が携帯電話とはまったく違うのだから、当然なのだけれど。
 Willcom端末なら「誰かと2時間近く喋って、さらに別の人と2時間近く喋る」とかいうことが平然と出来る(&その後丸一日以上待ち受けできる)けど、今の携帯電話にはそんな使い方が出来るはずがないわけで……。
 Willcom音声定額の「オンリーワン」特性は、価格破壊の一点のみで揺らぐような性質のものじゃない。高々400万契約程度のキャリアがきちんと生きながらえているのには、「価格以外にも(システムの特性を上手に生かした)独特の価値があるから」なのであって。


 Willcomが「制御局〜端末までのシステム全体を見渡して、フルに客が使ってもどこにも支障が出ない&客から不満が出ない」状態を作ってから音声定額を始めたことも、DoCoMoが「PTT対応端末が普及するまで数年かかることを承知の上で派手に宣伝して、あとから【PTTは発話時にしか大きな電力を消費しない=長時間通話に耐える】ことを体感してもらおうとしている」ことも、まるで無視されているような気がするんですよね、今回の話では……。


 それと、「他キャリアのプランを2つ並べた」というのは、ものすごく解りづらいと思う。
 そのわかりづらいプランを2つ並べて「【既存の】ユーザにまで、どちらか(じゃなかった、もうひとつあるから3つか)のプランを選ばせようとしている」というのは、いくらなんでも手抜きしすぎじゃないかなぁ……と。
 ひとつの茶碗とひとつのお猪口、ひとつの徳利を並べて「徳利の酒を茶碗とお猪口に分けさせる」という頓知を思い出してみたり……あれは「2人の飲兵衛がいて、片方が納得いくまで半分に分けて、もう片方がどちらか納得できるほうを取る」という話だったけれども、それと同じようなことを既存のソフトバンクユーザー全員に押し付けようとしているのだろうか……。


 私はてっきり「通話時間や通信量に応じて、常に最低額になるように毎月自動でVodafoneプランを組み替えて請求する」ような「シングルプラン」の仕掛けが出てくる(ARPUの考え方に縛られなければ、既存&新規顧客の心を一番確実に掴めるのはこれだと思う)のだとばかり思っていたのだけれど……期待しすぎだったようでorz。


 私はTU-KAJ-Phoneの移行期に2ヶ月ほどしか使ったことがないから、それほどJ-Phoneには愛着はないのだけれど……古くからのユーザーさんが困惑したりしないのだろうかと、そのあたりが少しばかり心配だったり。
 こういうことは「シミュレートの結果、財務的には大丈夫」とか、そう言う問題とは少し違う気がするのだけれど……。


 最終的には、「既存のユーザーさんが喜んでくれるかどうか」という、その一点に尽きると思う。喜んでくれるのならばそれで良いだろうし、喜んでくれないのならば……始まる前から失敗、ということなのかもしれない。
 うーん……悪い方の予感が当たらなければいいのだけれど。