和文版の五筆入力法。

 はてなアンテナ漢直ノートでの該当コメントそのものを見ても気づけなかったのですが、2ch経由で「閻涛: 日本語漢字直接入力法--五筆漢字(10/09)」というコメントのリンク先が「和文用五筆入力のサイト」になっている事を知りました。


 入力体験用のスクリプト・画像表示などがInternetExplorer前提で作成されています。
 「(Try to Entry:)」と書かれている入力体験用スクリプトでは、「五筆漢字:」と書かれた枠の上が入力枠で、下の枠は「単漢字選択枠(古いタイプのIMEにあったインターフェースと同じ)」となっています。IMEをOffにして、上側の枠で英字をタイプしてみてください。また、(英字列が4字に満たない場合は)語と語の空きに「Spaceキー」を打ってみてください。


 ……ってゆーか、こういう配列を「スペースキーとの同時打鍵から開始」として定義するというのも面白いかもしれない……けれど、入力体験用のスクリプトを触る限りは「ストロークと漢字が一対一では対応していない(場合によっては類似漢字の選択処理が必要)」という意味では、ちょっと日本で言うところの「漢直」とは違うのかも……などと、そんなことを考えてみたり。
 #連想漢直といえば真っ先に思いつくのが「NIK-50」なワタシなので、ぱっと見て五筆法のメリットを理解できなかったりします……orz


 順番に読み解いていって、面白いところといえば……2字組みの漢字列を打つ場合には各文字の頭2個のコードを連ねて打つ3字組み漢字列4字組み漢字列5字以上の漢字列も同じ考え方でいけるところ(ワープロ速記の考え方に近い)と、1打鍵+スペース2打鍵+スペースのそれぞれが頻度順に決まった漢字割り当てとなっているところ(こちらはいわゆる漢字直接入力に近い)でしょうか。
 但し、和文の場合は漢字の含有量があまり高くないので、この方法で漢字だけを打鍵圧縮をしても、極端な打鍵効率の向上が望めるわけではない点は微妙ですね……仮に和文へ五筆輸入法を本格採用するとなると、たとえば

ひらがな・カタカナも五筆輸入法のフレームワーク上に交ぜて入力できるようにする

とか、そういう工夫が必要になるかもしれません。
 和文入力においては漢字よりも高頻度に出現する「かな」がありますし、和文用の漢字直接入力ではかなの入力方法にそれぞれ独自の「快適さと高速入力適性の両立」を目指すためのいろいろな工夫がなされているわけで、そのままJISX6002へと上乗せすることが必ずしも一番良いとは限らない点が厄介かな……と。


 そういえば、入力体験用スクリプトにはちょっと妙なところがあります。
 五筆といえば「4打叩けば基礎文字が出る」ものだとばかり思っていたのですが、なぜか「W:人」を4回叩いても「人」とは出てくれないんですよね……うーむ、ほかにも「Y:言」「A:工」「X:糸」が同じ状況で、「H:目」「V:女」は表記に誤字があって……と、そんな感じですね。
 前者についてはそれが正しいのか誤っているのかという事からして不明ですが、後者についてはそのうち訂正いただけるものと期待したいところです。


 ところで、五筆輸入法では25個の文字キーを、スプリッタであるスペースキーも数に数えると都合26キーを使います。
 そして、スペースキーでスプリットするか、あるいは4打鍵打ち切りで漢字or漢字列を表現するわけで、つまり使えるパターンの数は……かなりの数になりますね。

  • 1打鍵+スペースキー……25パターン
  • 2打鍵+スペースキー……25×25=625パターン
  • 3打鍵+スペースキー……25×25×25=15625パターン
  • 4打鍵……390625パターン
  • 合計……406900パターン

 理論上これだけのパターンが利用できるとなると、確かに何らかの手がかりが必要になりそうですね……。
 使えるパターンを可能な限り使って省略記法を目指すか、あるいはパターン数を極限まで削ってシンプル記法を目指すか……この手の最適化に関する深度や方向性の多様さは漢直に限った事柄ではありませんが、なかなか興味深いところではあります。


 さて、無連想でも書き順連想でも発音連想(読みシフト単漢字IME)でもなく、かつ日本では扱われていない「五筆」という概念を用いた漢字直接入力は、日本国内でどのように扱われていくのでしょうか……。