採点……?

(元ネタ:理想の「かな」キーボード、2006年9月25日1:29:32にトラックバック)
 理想が「かな」配列かどうかはいまだに不明ながら(私にとっては現状における現実的な着地ポイントだと思うけど、終着地として正しいかどうかは自信がないのですよ)、とりあえずoyaoyaさんの採点ネタをお借りしてみることにしました。


 ……で、今回は「採点内容の検証」をしてみようかな、と。


 採点条件が「NICOLAの特徴を捉えたもの」なので、当然NICOLAの配点が高くなるのは当たり前なのですが……今回はその点を無視して「その条件にその配列が合致するかどうか」という部分のみを見てみることにしました。


 当初の採点内容はこちら。

旧JIS配列      3点(1 2 13)
新JIS配列      6点(1 3 4 6 8 11)
親指シフト配列   11点(1 3 4 5 6 7 8 9 10 11 14)
トロン配列    10点(2 3 4 5 6 7 8 9 11 14)
50音配列     3点(1 11 13)
ナラコード配列    5点(1 3 9 11 12)
飛鳥配列       8点(3 4 5 6 7 8 9 11)
中指配列       8点(3 4 5 6 7 8 9 11)
因みに、ローマ字配列もチェックしてみた。
M式配列      9点(2 3 4 5 6 8 9 11 12)
ドボラーク配列   7点(2 3 4 6 8 9 11)
QWERTY配列    6点(12 3 8 9 13) 
キネシス(お碗型) 5点(12 3 8 9) 
(from http://www.kanshin.com/keyword/985580 )


 では、条件をひとつずつ検証してみることにしましょう。

その1は、世界標準となっている「QWERTY」配列を備えている。
(from http://www.kanshin.com/keyword/985580 )

 原理的に、「ひらがなを入力するために用いるすべての配列」は、Qwerty配列/Dvorak配列のどちらとでも組み合わせることができます。
 ここでは、「設計時点の配列がQwertyではないもの」のみをマイナス点とする……という趣旨なのかも。
 そうすると、合致しないものは「TRON配列(オリジナルはDvorak配列)」「M式配列(独自配列)」「Dvorak配列(Dvorak配列)」のみとなります。

その2は、手の形を象ったものか、逆ハの字形を備えている。
(from http://www.kanshin.com/keyword/985580 )

 配列ではなくキーボードの話。
 こちらは合致するものが「TRON配列(オリジナルキーボード)」「M式配列(オリジナルキーボード)」「Kinesisキーボード(オリジナルキーボード)」のみとなります。

その3は、タッチタイピング可能とするため、配列は3段以内である。
(from http://www.kanshin.com/keyword/985580 )

 NICOLAに有利なように……ということで、条件を「90字弱のひらがなが3段以内の配列に収まっているもの」とし、かぎカッコなどの和文頻出記号は考慮しないこととしました。
 合致しないものは「JISX6002かな」「50音配列」「ナラコード」となります。

その4は、使用頻度を考慮し、よく使う「かな」をホームポジションに集中させている。
(from http://www.kanshin.com/keyword/985580 )

 設計基準で「テキトーに」選別してみました。厳密にやるとすべての配列が合致しなくなりますし。NICOLAが有利になるようにするのであれば、「【QWERTYUIOP】よりも【ASDFGHJKL;】を高頻度に使う」とするべきかも。
 ホームポジション【ASDFJKL;】のみに限定してしまうと範囲が狭すぎますので、「中段に集中させている」ぐらいが表現として適切かな……と。
 合致しないものは「JISX6002かな」「50音配列」「ナラコード」「Qwerty配列」「Kinesisキーボード(Dvorak配列モードであれば条件から外れる)」となるのでしょうか……どちらにせよ、条件としては微妙ですね。

その5は、濁・半濁音を含め、入力したい「かな」のすべてをワンアクションで入力できる。
(from http://www.kanshin.com/keyword/985580 )

 つまりは「同時打鍵か否か」ですな、これは……と思ったのですが、「NICOLA」「TRON(普通のシフト)」「飛鳥」「中指シフト(逐次型が一般的)」「M式(2アクション完結)」が選ばれていることからして、そういう条件ではなさそう。
 ……どーいう条件なのかがまったく理解できないですorz
 NICOLAのポイントアップが目的とすると、単純に「同時打鍵か否か」だから……合致するのは「NICOLA」「飛鳥」になりますね。
 仮に「M式(2アクション完結)」を含めるとなると、交互打鍵2打鍵で完結となる「月配列Ux系」が含まれることになるので、「中指シフト」も(全部ではないが一部は確実に)合致することになります。
 TRON配列は、半濁点が別打ちになっている(同時打鍵で処置できるのはTRON派生配列のみ)ので、その点についてもどうなるのか良く解らないですね。

 その6は、左右の指(手)を交互に打鍵する率を高めている。
(from http://www.kanshin.com/keyword/985580 )

 NICOLAが選ばれていることからすると、JISX6002かな(52%程度)よりも高いものはすべて……ということかも。
 合致しないのは「JISX6002かな(基準配列)」「50音配列(??……調査したことがないので不明)」「ナラコード(同左の疑問がある)」「Qwerty配列」「Kinesisキーボード(Dvorak配列モードであれば条件から外れる)」あたりでしょうか。
 うーん、いまいちすっきりしないですね。

その7は、運指の使用率を、人差指から小指にかけて漸減させている。
(from http://www.kanshin.com/keyword/985580 )

 設計時点で「どの指に負荷をかけるか」というあたりを指しているのかも。
 シフトを親指でやっている飛鳥は中指が一番重くなるけど、逐次系の中指シフト配列では人差し指を一番重く設計する例が多いはずだから……トロン配列はどうなのだろう?
 合致しないのは「JISX6002かな」「50音配列」「ナラコード」「飛鳥」「Dvorak」「Qwerty」「キネシス」なのかも。

その8は、モード変更なしに、数字や記号をダイレクトに入力できる。
(from http://www.kanshin.com/keyword/985580 )

 設計時点で「英数←→かなモードを使わなくてもいいもの」というあたりを指しているのかも。
 合致するのは「JISX6004かな」「NICOLA」「TRON」「飛鳥」「中指系配列」とローマ字系すべて……なのか?

 その9は、指の数を考慮して、横10キー内に「かな」を配置している。
(from http://www.kanshin.com/keyword/985580 )

 人差し指間キーは無視か……ってそれは良いとして。
 合致するのは「NICOLA」「TRON」とローマ字形すべて。

 その10は、誤・ミス入力の訂正は、ホームポジションを崩さずに操作できる。
(from http://www.kanshin.com/keyword/985580 )

 設計時点でのことを指しているのかも。
 合致するのは「NICOLA」「TRON」「キネシスキーボード」か。
 飛鳥のBs/Ecは2キー離れなので、この条件には合致しないと思う。

 その11は、配列は、一定の規則性を持った覚えやすいものである。
(from http://www.kanshin.com/keyword/985580 )

 50音順もしくはそれに近似しているもの……ということ?
 oyaoyaさんの条件とはぜんぜん違ってきますけど、JISX6002かなですらも除外するとなると、合致するのは「50音配列」「ナラコード」「M式」のみになります。

その12は、「しよう」などをワンタッチで入力できる省入力機能を備えている。
(from http://www.kanshin.com/keyword/985580 )

 「しよう」ではなくて「しょう」では?という気が……「ワンタッチで」が含まれるならば、合致するのは「ナラコード」のみ。「2タッチで」もよければ「M式」が入ります。

その13は、求めやすい価格である。
(from http://www.kanshin.com/keyword/985580 )

 価格……デフォルト対応であることを前提とするのならば、合致するのは「JISX6002かな」「Qwerty配列」のみでしょうね。
 導入コスト(価格ではなく手間)をいとわないのであれば、合致しないものが「ナラコード(商品)」「M式(商品)」「キネシスキーボード(ハードウェア)」のみになりそうですが、そういうわけではなさそう。

その14は、ローマ字や旧JISかな入力に比べて、打鍵数が圧倒的に少ない。
(from http://www.kanshin.com/keyword/985580 )

 JISX6002(JISX6004系もほぼ同じ)よりも打鍵数が少ない、というと……「NICOLA」「飛鳥」あたり?「TRON」「ナラコード」が同時打鍵ではないので、含めるべきかどうか微妙ですね……TRONは同時打鍵に近く打てる&ナラコードは省打鍵がたまに効くので、今回は両者ともに含めています。どちらにせよJISX6002を基準にしたら10%未満改善という五十歩百歩のレベル(しかも同時打鍵コストを無視してしまっている)であり「圧倒的」というには無理があるかと。


 ……と、この条件で採点しなおしてみることにしました。

JISX6002かな──2点(1 13 )
JISX6004かな──6点(1 3 4 6 7 8 )
NICOLAかな──10点(1 3 4 5 6 7 8 9 10 14)
TRON鍵盤──9点( 2 3 4 6 7 8 9 10 14)
4段50音鍵盤──2点(1 11 )
ナラコード鍵盤──4点(1 11 12 14)
飛鳥かな──7点(1 3 4 5 6 8 14)
月配列かな──6点(1 3 4 6 7 8 )
M式鍵盤──9点( 2 3 4 6 7 8 9 10 11 )
Dvorakロマかな──5点( 3 4 6 8 9 )
Qwertyロマかな──5点(1 3 8 9 13 )
キネシス鍵盤──6点(1 2 3 8 9 10 )


 ……うーん、それにしてもすっきりしないですね……
 「NICOLAとM式の差別化点を列挙している部分が多い」こととともに、「配列とハードウェアをごちゃ混ぜに評価してしまっている」点も気がかりというか。
 タイトルが【私にとって理想の「かな」キーボード】であれば、この設問はきちんと意味をなすのではないかな……と、そう感じました。


 というわけで、お手数おかけしすみませんが、採点内容の検証をお願いいたします……。