飛鳥の親指シフト面分けは、シフト間の「障壁(ガードバンド)」であると同時に「案内(ガイドレール)」でもある。

 …なんてことは、「飛鳥のために」を見た人ならばすでに承知済みでしょうね。
 いわゆるシフトの連続は、カナ文字を3グループに分けることにより、より連なりやすい文字同士のみを差別的に打ちやすくすると共に、連なりにくい文字同士が続くことを避ける「ガイド」としても働いています。
 ええと…最近自分のところで見つけた【でも取り上げられらいます。】などの誤打鍵(俺の場合は意外と多く起きる)は、誤打鍵そのものを回避することが困難な場合であっても、ひとたび読み返せばあからさまに「うわっ、いかにも舌っ足らずな物言いだな…」となって気づける様なことが多いのです。
 ほかにも、ぎょっとする例や笑ってしまうような誤変換例などなど、編集中に気づける事が非常に多いので、結構この不思議な特性に助けられている様な気がします。
 まさにhttp://usability.novas.co.jp/glossary_09.htmlを地でいっているわけで。


 今まで登場した日本語入力方法に於いて、果たして飛鳥以外にシフトキーの存在を「積極的に利用して」きた配列が、ほかにあったでしょうか。
 大抵、他の配列は「シフトとは邪魔なもの」であり、「仕方なく使用する」「無視すべき存在」であったと記憶しています。逐次シフトにしても、同時シフトにしても、結局は「実際には存在する、シフト操作の重さ」をなるべく感じさせないようにといろいろやっているみたいなのですが…どうやってもゼロにはなりません。
 飛鳥の場合は逆なんですね。シフト操作が操作コストを増やしていることをきちんと認識している。変に逃げようとはせず「複雑なシフト操作は絶対に悪だ」という考えに立っている。


 Rayさんはあくまでも「小学生から打てるように」…というで、低年齢層をターゲットにしているようですが、真っ先にそっちを狙っても無駄です…。
 この点については、すでにNICOLAをお使いの方が嘆いておられますから。
  http://thumb-shift.txt-nifty.com/contents/2005/01/re_nagi2.html
 どうしても、非標準な入力方式を使う限りは、こういった問題を避けられない気がします。


 まずは正攻法で、子供にものを教える立場の「20代〜50代」の人に対するサポートが重要なのかもしれませんね。
 積極的にサポートするなら…まずは20代でしょうか。ローマ字入力に疲れ始めて移住先を探している人とか(それは2年前の私ですな)、そういう人に対して、飛鳥のメリットとデメリットを同時にかつ客観的に提示できるようになれば、このまま普及してゆく可能性は十分にあると思うのです。


 エミュレータ関連の環境が理想的な状態には至っておらず、しかもまだトラブルが起きたときに対処する体制作りすらも出来ていない(これは人が増えれば自動的に解決するかも)点など、現状の飛鳥を取り囲む状況はまだまだ不利だと言わざるを得ません…。
 でも、【困難はあるが、それでも飛鳥を使っている】という風なコメントを見ると、「これだけのデメリットを抱えてもなお、使い続けたいと思えるくらいに飛鳥の持つメリットは大きい」という事なのかもしれませんね。
 普通はメリットとデメリットを天秤にかけて評価しますから、デメリットを少なくする(エミュレータや教材、コミュニティをも含む)事も重要ですし、メリットをさらに大きくする(公式版の絶対的な安定性がまず先にあって、その上で研究版の魅力的な入れ替え案に関する議論があるべき)事も等しく重要です。


 うーん、やっぱり公式の版番号は21世紀-290に差し戻して、現行291版に付いては最近の流れ通りに「勝手配列・開発中の配列」として提示していただきたいところ。


 で、keylayですか…使ったことがないからなぁ…。飛鳥×keylayでの環境構築に関するドキュメントをどなたかが作成されれば、より選択肢が広がって良いのですが。

 ああ、「もや指」がなつかしひ…
 飛鳥×もや指×MS-IMEの限定対応でも良いから復活して欲しいですな…。
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