シフトは簡単な方が良い…特に、数よりも順序の問題で。
親指シフト系配列に共通するメリットは、結局「シフトの打鍵順序に関する関係が解りやすい」ということにつきると思います。
他の入力方式では、目に見えない形でシフトをかける例が多く(そのほとんどは逐次打鍵時のプレシフトとポストシフトとして存在する)、明確なシフトキーが存在しないだけで「実質的なシフト関係が結構複雑」です。
私は「JISかなとQwertyローマ字の2つしか選択肢がない環境ならば、Qwertyローマ字を選択すべき」と言うことにしていますが(注:半年間のみJISカナを推奨していた時期はありましたが…)、これは打鍵範囲の狭さよりも「シフトの単純さ」を押した結果です。
ローマ字入力(ただし小書き文字は[L]を前置する方法を推奨)の方がマシだと思う理由は、ローマ字入力方式が「子音プレシフト」に統一されている点が大きいですね。
これがJISカナ入力になると、[Shift]キーによるプレシフトもどきと、(半)濁点キーによるポストシフトとが絡んできて、「発音を元にした入力」を習得しようとする上での大きな障壁となるおそれがあります。
また、習熟が進んできて、文字を目で追ったりせずに「運指で文字を入力する」様になったとしても、結局はこの複雑なシフト関係がもとで打鍵パタンが安定せず、ホームポジションに指を戻す操作がしづらくなるのではないでしょうか。
私の場合はもろに運指だけ(キー単独での位置をまともに覚えようとしていない)なので、下記のような状況に陥っていたりします…。ここまでひどくないにせよ、普段打っていない打鍵に関しては、なかなか普段と同じようには打鍵できない、という方がいるかも…という気がします。
http://d.hatena.ne.jp/maple_magician/20050119#get_the_giggles
その点、親指シフト系の配列では2つの同時シフトと[Shift]キーによるプレシフトもどきのみ(しかも後者は使わずとも打鍵できる)で、シフト操作が単純になっています。
必ずワンアクションで、区切れよく入力したい人はNICOLAを試してみると良いでしょう。
NICOLAでの打鍵は「1文字ずつ確実に打鍵していく」操作によくマッチングしますし、また逐次打鍵的な打鍵感をよしとしない方にとっては唯一使える配列でもありますし。
(この辺は、NICOLA掲示板を見返してみて再認識させられた次第です)
[2005/02/05]またしてもURLを引き忘れていたので、下に追記します。
http://nicola.sunicom.co.jp/cgi/wforum/wforum.plx?mode=allread&no=431&page=0
ああ、ついでに打った文字に最も癖が出にくいのはNICOLAでしょう…かつて(けっきょく習得はできなかったものの)打鍵した限りでは、文字キー同士のしがらみが最も少ない気がします。
この点、他の配列には多少なりとも癖があると見ています。NICOLAでの打鍵に慣れている人にとっては「シフトのあるなしに関わらず打鍵コストが変わらない」という感触を得ている様ですので、結果として「NICOLAでの打鍵成果物には癖がない」となるわけですが、それはNICOLAに限った話であって、必ずしも「打鍵方式に関わらず打鍵成果物には癖がない」ではないと思うのです。
実際、(一つの配列を使っている中でも)人は楽に打てる方法をよく選択しますから、それに引きずられて「打鍵しづらい語彙の使用を無意識に避け、打鍵しやすい語彙を無意識に重用する」はずです。私など、拡張ローマ字規則のAZIK使用前後ではこの問題に悩まされていましたので。
翻って飛鳥は…(いわゆる連続シフトがあることで)NICOLAほどはっきりと文字を打鍵している感じではなく、NICOLAよりもはっきりと「打ちやすい手・打ちにくい手」が分かれているようです。
飛鳥はNICOLAのもつ親指シフトに逐次打鍵のアプローチを持ち込んでいて、親指シフトキーを離す操作にコストを要します。従って、NICOLAの様な「常に1打で1文字」という状況は保証されず、代わりに「シフトを離して、再び同じシフトを押す」という操作が不要となっています。
この辺はトレードオフなので、「同期シフトにメリットを感じるならばNICOLA」、「連続シフトにメリットを感じるならば飛鳥」と言うことで良いのではないかと。
結局は、人によって求める打鍵感は異なるはずですので、色々試してみるのが一番良いのかもしれませんね。
もっとも、本来ならば「始めから親指シフト系配列を薦めたい!」訳ですが…。
俺にとっての最適解と、他人様にとっての最適解は必ずしも同一ではないのですから、わざわざ「現行で標準的にサポートされてはいない」配列を、「これからPCに入ろうとする人」や「現状で満足している人」に無理矢理押しつける気にはなれません。それこそ押し売りでしかないわけで。
(この点、ぎっちょんさんのやり方は清潔感があって羨ましいです…俺にはどうやっても真似できないスタイルですな)
結局、俺にできることと言えば、こーゆー事をつらつらと書き連ねるだけのパッシブな方法しか採れないわけで、あとは読みに来て下さった方に判断をお任せするべきだと考えています。