飛鳥(カナ)配列では、Qwerty配列ローマ字入力で「いう(iu)」を叩くようなイメージが利用できます。

 飛鳥で「です(←;k)」/「する(←kj)」/「もの(→.k)」/「けい(←:k)」/「けん(←:j)」/「なら(→df)」などという打鍵をしていて、ふと気づいた事が。
 このときの手の動きというのは、ちょうどQwerty配列ローマ字入力を使っていて「いう(iu)」「だ(da)」「こ(ko)」「よ(yo)」などを打つときの同手同段連打とほぼ同だったりします。
 (ついでに書くと、ローマ字拡張入力規則のAZIKには「こと」「した」「たち」「ひと」などを2つの子音キーで出す省略打鍵も存在します…但し私は「省略」打鍵という考え方自体が嫌いなので、ネタ以外では極力使わない様にしていましたが)

 こういう場合、ローマ字入力では「始めに打ったキーを離す前に、次のキーを打っても正しく入力できる(いわゆるロールオーバーが効く)」ので、大抵は指を(無意識に)「2つのキーを逐次打鍵する様に」形作って、そのまま手首を軽く振り下ろす(1回の操作)だけで「iu/da/ko/yo」などの操作を行うはずです(注:滅茶苦茶打鍵速度が速い人は、こういう打鍵方法を取っていないので注意)。


 ところが、ニコラ(いわゆる親指シフト配列)では、このような逐次打鍵が行われる事を前提とした配列設計ではなく、文字キーと親指シフトキーを「ほぼ同時に押し、ほぼ同時に離す」事を要求されます。
 無シフト面は(ロールオーバーを使った)逐次打鍵ができるかもしれませんが、少なくとも親指シフト面でのそれは「誤打鍵を生む悪手」として嫌われています(実際、ある時点からの親指ひゅんQ(ニコラのエミュレータ)では、親指シフトの効果が文字1キーにのみ働く様になっています)。

 翻って飛鳥は、ニコラが「誤打鍵のもと」として忌み嫌っていた(が、ローマ字入力・中指シフト配列・新旧JISカナ系配列ではいずれも便利な機能として使われている)ロールオーバーを、親指シフトキーを使いつつ利用する事により、「ローマ字入力などで普通に行っている、いわゆる文字の逐次打鍵操作」を、シフト面についても積極的に利用できる様にしています。
 (この点については、特に左シフトを押しつつ打鍵する「左シフト面」をご覧頂く事で、もっとも簡単に「シフトキーを押しながら逐次打鍵する事」の有用性を知る事が出来るはずです)


 配列考案者の「主観」でキー配置を決めただけの「思想的存在」と決めつけて、飛鳥を嫌う人がいるかもしれない事は重々承知しているつもりです(というか、飛鳥カナを始める前は、私自身もそういう意見をそのまま信用していました)。
 しかし、カナを3面に分けて「極力シフトを維持しつつ逐次打鍵しやすい手を作った事」自体を思想だと言い切る事はさすがに無謀でしょう。
 仮に思想の問題を持ち出すならば「頻繁に入れ替わっている、文字割り当ての部分のみ」に対して言及されるべきであって、これについては提案するなり独自に調整した配列を作るなりすればいい話。


 結局、極力効率(もしくは憶えやすさ)を優先するなら他に配列はいくらでもありますが、
  「カナ文字とキータッチが1:1で一致している」
   (冗長さや省略打鍵規則などのいい加減さがない)
  「ローマ字入力で使ってきた逐次打鍵の癖を生かせる」
   (ほぼ全ての配列は、「飛鳥も含めて」同じシフト面の中では逐次打鍵できる)
  「不器用でも問題なく打鍵できる」
   (ホームポジションを極力守るので、長時間打っても案外疲れにくい)
という要素を満たす配列が、飛鳥以外にそうそうある様には思えないのです。