どんな配列が「今すぐTypewellで参戦できる」のか──その判定法──。

(from 「Typewell」における、GANGASさんによる方針が公開された。 - 雑記/えもじならべあそび)


 この記事は、以前の解釈が「間違っていない」ことを前提にしています。
 いきなり練習を始めるのではなく、必ずGANGASさんに事前確認しましょう。


 GANGASさんが掲げるルール(を私が解釈したもの)が正しければ、【参戦】のための条件が「打鍵数を減らすアプローチではないこと」なので、現在公式に使えるルールは2つだけ、となります。

  • 「国語R」での使用を前提として「JIS X4063綴り」を用い、文字の入れ替えのみで配列を作る「行段系」入力法。打鍵効率は1.7打鍵近傍/文字。
  • 「国語K」での使用を前提として「JIS X6002文字」を用い、文字の入れ替えのみで配列を作る「かな系」入力法。打鍵効率は1.2打鍵近傍/文字。

 ちなみに、本来は「改造ポケベル入力」のようなものも含められそう……だと思うのですが、完全2.0打鍵方式では打鍵数が多すぎますし、省略規則を増やすと打鍵効率が上がりすぎてしまうポイントが出がちで危なっかしいので、ここではそれを含めないことにします。

そもそも「行段系」と「かな系」の違いって何?

 「行段系入力法」=「いわゆるローマ字系など、「か行」+「い段」=「き」とか、そういう指定方法を採用する入力法」
 「かな系入力法」=「1打鍵で1カナを出せるというパターンを増やし、行段関係を崩した入力法」


 Typewellの現行参戦条件には「行段系を使う場合にJIS X4063綴りを強要されてしまう」ところがあるのですが、その唯一の例外として「1打鍵で1カナを出せるというパターンを増やし、行段関係を崩した入力法」が利用できます……というか、これはもちろん「かな系入力法」のことを指し示しています。
 この「かな系入力法」は「国語R」ではなく「国語K」でしか使うことは出来ません……が、後述の通り「RとKのどちらを選んでも負荷は似たようなもの」なので、かな系を使うなら素直に「国語K」を使いましょう。

「今すぐTypewellで参戦できる」行段系とはどういうものか。

  • JIS X4063綴りローマ字入力と、市中にあるIMEが持つオレサマ定義のほかに、拡張定義がないこと。
    • 打鍵数が変わらない【「っ」の1キー定義&「ー」の移動定義】とかに限っては、追加しても大丈夫。
      • 「kt」と打って「koto」と等価な出力がでる……とか、そういうのだけが現行ルールでは参戦できない、という話。
    • 英字の並び方については一切不問。
      • 好きな英字配列を使え。ってゆーか作れ。アンシフト「j」のキーについて、そのシフト側に「n」があったりしても(打鍵数が変わらないので)平気だから。
    • シフト方法については(シフトの打鍵数を数えないので)一切不問。
      • 小指シフト・中指逐次シフト・親指同期シフト・親指連続シフト・親指タイムシフト・文字キー同士同時打鍵……などなど、どんな手を使ってもいい(けど、定義できる文字数は決まってるから、その点には注意。)

「今すぐTypewellで参戦できる」かな系とはどういうものか。

  • JIS X6002かな入力が「単独の文字キー1打鍵」もしくは「小指シフトキー先行+文字キー1打鍵」で出せる文字を除き、一回の操作では出せない仕様であること。
    • 「は」という文字を1操作で出せるのは(国語Rにおいてはダメだけれど、国語Kにおいては)いい(この手の癖があって、0.5打鍵/かな程度の打鍵ロスを圧縮できる)。
      • (JISかなでは2打鍵以上の扱いになる)「ば」や「ぱ」や「ひゃ」や「びゃ」などを、1操作で出せることがあってはならない。
    • かなの並び方については一切不問。
      • 好きなかな配列を使え。ってゆーか作れ。アンシフト「り」のキーについて、そのシフト側に「ま」があったりしても(打鍵数が変わらないので)平気だから。
    • シフト方法については(シフトの打鍵数を数えないので)一切不問。
      • 小指シフト・中指逐次シフト・親指同期シフト・親指連続シフト・親指タイムシフト・文字キー同士同時打鍵……などなど、どんな手を使ってもいい(けど、定義できる文字数は決まってるから、その点には注意。)

国語Rと国語K、どちらが有利なのか──再び。

 GANGASさんの設計方針からして、「同じ配列を使って打つ」限りは、KとRの誤差は「実用上はない」といえるでしょう……というか、仮に今ぶれていたとしても、次の版には調整されて「ほぼ完全にフラット」になるはずですので、この点について心配しても仕方がないかな、と。


 ……で、配列面においては、上に大きな文字で示した部分が有効活用できる配列を使えば、原理的にはKのほうが「利用者の努力次第で、有利に参戦できる」と思います。
 そもそも、Rで配列を弄っていく場合、参戦条件の「JIS X4063綴り縛り」が厳しすぎるんですよね……。
 同じ厳しい縛りを受け入れるなら、それこそ「JIS X6002文字縛り」のほうが、まだいくらでも自由が利くというか……。
 もっとも、「JIS X6002文字縛り」の配列を作ると、行段系の配列とは違って「手作業調整が酷く大変」という問題はある……のだけれど。


 ……とりあえずは、以下のあたりを調査してみるといいかも。

 この5つを比較すると、「どういうものが国語Kで使えそうなのか」というイメージが、比較的すぐに湧くのではないかな……と。

この記事は、何のために書いたのか。

 「AZIKとかNICOLA(親指シフト)とかでの参戦が解禁されるまで待ってられないよ!」という方のために、書いたつもり。
 今あるルールの中で*1ベストパフォーマンスを目指すとなると、その解はたぶん、このあたりにあると思う。

2009年3月26日1:08:22追記。

 ……ちなみにこれは「全配列参戦」のための、ステップの一つです。
 極端な話、「(ルール上参戦が既に認められている)月配列などをつかって、多くの方にすばらしい記録を出してほしい」という、実も蓋もない提案を含んでいたりもします。
 打鍵数条件が解除されて「全配列参戦」が可能になれば、この辺りはさらに伸びるでしょう……と。


 けん盤配列には「ヒトとの相性」があるので、

  • たまたまQwertyロマかなとの相性が悪い。
  • たまたまJISかなとの相性が悪い。

……とかいう「配列運に起因する制限」を、一つずつでも解除していければいいなぁ……と。
 相性問題に起因する「その人にとってトップスピードを出せる配列が、なぜか競技タイピングソフトではつかわせてもらえない」という状況が、一日も早く完全解決する日が来ることを望みたいですね……。

*1:個人的には、「多少ルールが緩くなっても変わることなく」月配列系は十分なパフォーマンスを提供してくれるはずだと思うのだけれど。