安岡さんの日記より。

 「黎明期の全指タイピング法」、今風に言えば「運指の最適化」をせずに「ワードの最適化」のみで乗り切っていたようなもの。
 ……だから「タイピングは職業訓練を受けないとできないほど難儀な代物」だったのだろうか?……って、それは全然関係ないか。
 PTS法の研究が始まったのは1920年代あたりだから、それ以前の練習法テキストに「ホーム・ポジションの重要性」が示されることはなかったとしても不思議ではないのかも。ところで「ホーム・ポジションの重要性に気づいたこと」と「ホームポジションマーカーがキートップに施されたこと」とでは、どちらが早いのかなぁ……。


 あっ、コマツにおいてあるDjVuフォーマットプラグインを通すことで、日記にある次のドキュメントを閲覧可能です。

 英語が読めないと話にもならない……という部分はあるのですが(ゆえに私には理解できないorz)、たとえばQwerty教本のpp.7-14あたりは面白く読めるかもです。


 ……で、一応当時のQwerty運指表を勝手にでっち上げてみました。
 左手領域の割り当てが斜めになっている理由は後述で。

4432111 11234 ←教材の指割り当て番号
小小薬中人伸伸 伸人中薬小
QWERT   YUIOP
 ASDFG  HJKL
  ZXCVB NM,.

 右手が「上段ほど中心より、下段ほど外より」であることは現行の打法と似ています。
 特徴的なのは左手で、こちらも同じく「上段ほど中心より、下段ほど外より」を基本としているっぽい(結構例外がある)のが面白いです。
 ここからワードの最適化を施したものがMrs. M. V. Longleyのテキストとなるわけで。


 ……あれっ、もしこの打法が「普及」していたとなれば、キーボードの段ズレは中段・上段間も1/2キーずつズレていなければならないような。
 うーん、どうしてなのだろうか。


 どちらにせよ、デタラメタイピングというわけではなさそう。
 今ある常識とは違う、当時なりの常識があって、それに基づいて最適化を施した……ということか。


 そして、タイプライタの写真を見てみる……上段と下段のバーがかなり近接していて、今のキーボードと比べて「上段がもっと左に寄っている」ッぽいですな。これなら左手が右手と同じく「上段ほど中心より、下段ほど外より」になるようタイプ法を設計しても、なんら不思議はないのかも。
 もっとも、1873年の市販初期モデルでは、中段が基礎・下段が中段キーのちょうど中間・上段は中段用バーと下段用バーの中間(中段に対して1/4ズレ)だった様だから……ああますますわけが解らないですよorz

2006年8月16日3:33:44追記

 英語では「人差し指・中指・薬指」をそれぞれ「first finger/second finger/third finger」とも呼ぶようですね……つまり、数字は呼び名をそのまま表している、と。