【改訂版】普通ローマ字入力の「欠点(質問)」と「それに対する反論(回答)」。

(過去:普通ローマ字入力の「欠点(質問)」と「それに対する反論(回答)」(不完全版→完全版に修正)。)
(過去:JISかな入力の「欠点(質問)」と「それに対する反論(回答)」(不完全版→完全版に修正)。)
(過去:「欠点(質問)」と「それに対する反論(回答)」ネタを再び書くべきかどうかで迷っています。)
(過去:親指シフトの「欠点(質問)」と「それに対する反論(回答)」)


 前回のそれが見事にずっこけたので、仕切りなおしです。
 今回は「親指シフターな方の指摘」を中心に擁護してみようかな、と。
 そのため、多くの部分が自動的にJISかな入力版とかぶりそうです。
 #せっかく親指シフトの「欠点(質問)」と「それに対する反論(回答)」が自分では納得できる程度に仕上がっただけに、こちらも同じレベルまで引き上げたいんですよね……。

ローマ字入力かそれ以外か」という話題って多いですよね。

 そうですね。
 人それぞれに使いやすいと思う入力方式を使えば良いだけの話であって、それ以上でもそれ以下でもないと思います。
 議論に至っている例もあるようです。
 http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=390012&rev=1
 http://q.hatena.ne.jp/1082253402
 http://chiecom.tanteifile.com/detail?q=4461
 http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=1072055

「かな入力」って格好悪くない?

 仮にそう思っても、口に出したり表現したりすることは避けるほうが無難です。
 入力方法の流行り廃りは流動的で、次に何がメジャーになるかは誰にもわかりません。
 ローマ字入力が廃れ始めたときに「ローマ字入力って格好悪くない?」とか言われたら嫌ではありませんか?
 自分が嫌だと思うことは人にしたり押し付けたりしない……これは全てに共通することだと思いますし、入力方法に関しても例外ではないと思います。

日本語入力コンソーシアムのアニメーションは、ローマ字の実情を表していないと思うのですが?

http://nicola.sunicom.co.jp/compare.html
 これのことですね……私も妙だと思います。
 私の場合は「JISかな・Qwertyローマ字・AZIK・飛鳥」と移ってきましたけれども、最終的な入力「スピード」に関してはそう変わらないと思います。
 あの動画、本当は入力「コスト」を表現したかったのだと思いますが、何かが違うんですよね……。
 ためしに「総打鍵時間」を揃えたスクリプトを公開しています。
http://www.eurus.dti.ne.jp/~yfi/aska_arrangement/bin/typewrite_demo/vsmode.html
 ※InternetExplorer専用です。飛鳥とかなめくりは事情により遅く表示しています。打鍵例文が挑発的なのは……「申し訳ありません」としか言いようがありません……すみません。

JISかな入力をしている人や親指シフトをしている人の文献を見ると、ローマ字入力についてあれこれ書かれているようなのですが……

 基本的には、気にしないでください。
 喧嘩腰で書かれている文献は無視していただければよいかと思います。
 もっとも、「単なる比較をしているページ」と「ユーザを小馬鹿にしているページ」は分別されるべきだと思いますが。
 「批判」をせずに「その他の入力方法」について簡潔に説明しているページがありますので、とりあえずご覧いただければ幸いです。

「無変換」「変換」キーなどいらない。あんなもの消えてしまえ!

 いや、かなや数字段のさらに上にあるFキー群を押すよりは、これらのキーを使うほうが楽だと思いますよ。
 特に「無変換」キーは「ホームポジションから手を動かさずに[かな→カナ変換]ができる」ので、慣れると便利なのですよ。ぜひ一度お試しあれ!

単純に「ローマ字入力」って劣ってるの?優れてるの?

 うーん……この辺は色々な面から「統計」をとっているようですけど、そもそも統計で「生かす数字」と「無視する数字」とに分別する際に、統計に参加した測定者側の恣意が絡んでいますので、この値をそのまま理解できるのは「似た考えを持つ方」のみになると思います。
 本当はもっと多角的なパラメータを用いて、できれば一人一人の運動特性などに合わせた再計算ができるような「統計の元」があれば、もう少しより「見る人に向く」数字を得られるかとは思います。
 もっとも、こうやって得られる数字はあくまでも「特異値をすべて排除した平均値」になりますので、実際のところ個々人にとって「納得できうる」値を得られるとは思えない気もします……。今のところは「じっくりと両方試してから自分で決める」のが、一番手っ取り早い気がします。

じゃあ、他の誰でもない「私は」どちらをやればいいの?

 「周りの意見に左右されること無く」ローマ字入力・かな入力の両方をやってみることをお勧めします。
 周りの言うことを聞いてやっても発見などありませんし、それならばいっそ自分で取り組んでみる方が良いと思います。


 始めに「かな入力←→ローマ字入力」の切り替え方を覚えてから、両方の入力方法を少しずつやってみてください。
 かな入力用の資料
 http://abcxyz.blog23.fc2.com/blog-entry-4.html
と、ローマ字入力用の資料
 http://www.eurus.dti.ne.jp/~yfi/romakanapaper.html
をとっかえひっかえ試してみて、自分に合う方を選択いただければ、それでよいのではないかと思います。
 #欲張って英字入力まで同時に覚えようとするよりも、まずはより使用頻度の高い「日本語入力」にフォーカスして練習する方が楽だとは思います。

ローマ字入力を覚える方が英字入力もできてお得じゃない?

 http://homepage3.nifty.com/keyboard/Qwerty-R1.htm
 こちらをご一読ください。

ローマ字入力は非効率的だから人に勧めるべきではない」といわれてしまいました。どうすればいいのでしょうか。

 次の返答をご用意してみましたので、軽く流すことをお勧めします。
・「ローマ字入力は色々な端末で使えるという利点がありますよ(※かな入力が使えない端末を一台以上利用する方以外は、この理由は使わない方が身のためです)」
・「ローマ字入力は3段の狭いキー範囲で入力できるから、タッチタイプしやすいのですよ(※近くに「かな入力+英字入力」を華麗に扱っている方が居る場合、この台詞が嘘だとばれるので注意)」
・「今時小学校でもローマ字入力しか教えていませんよ(※まじめに「かな入力・ローマ字入力」の両方を教えている先生やインストラクタが近くにいらっしゃる場合、この台詞が過去の話だとばれるので注意)」

ローマ字入力は「ローマ字を経由しなければ入力できないから不便だ」と言われたのですが。

 入力するために必要な「手順」が「かな入力」とは違うだけです。かな入力にしても「濁点・半濁点」を打ったり「小書き文字」を出したりするには別途操作が必要ですし、ローマ字入力のそれも基本的には同じです。
 たとえば、かな入力で「かいてきなもじにゅうりょく」と打つことは、英字キーに置換すると

  • 【tewgumd@i(4l)h】

と叩くことと等価です。
 逆にローマ字入力で「かいてきなもじにゅうりょく」と打つことは、かなキーに置換すると

  • 【のちにかいのにみちもらまにみんななすんらのな】

と打鍵することと等価です。
 どちらにせよ、

  • キーボードを見ながら入力する場合は「自分にとって」使いやすい手がかりを用いる方が良い。
  • キーボードを見ずに入力する場合は「自分にとって」楽だと思う方を選択すればよい。

とは思います。
 (キー入力はあくまでも指の運動なので。このあたりはタッチタイプできる人に聞いてみると良く解るかと)

「あなたがやっている【普通のローマ字入力】は非効率的だから、絶対に○○入力方式に変えるべきだ!」と言われた場合、どう切り返すのが適切ですか。

 「相手が入力方式に関して疎い場合に限り」次の返答を用いることが可能だと思います。

  • 「私は今の入力方法から変更する気がありません……変更する理由が無いからです。むしろあなたはそこまでこだわっていらっしゃるのでしたら、【より効率的な入力方式】だと語られているほかの入力方式をお試しになってみてはいかがでしょうか。かな入力系でもローマ字入力系でも漢字直接入力系でも速記入力系でも、あきれるほどたくさんの入力方式が提案されているようですので。そういう入力方法を習得してもなお、先ほど提案された入力方式のほうが良い!というのであれば、考えてもいいですけどね。」
    • 予備知識がないとこういう切り返しはできませんので、予め色々な入力方法に関して(軽くでかまわないと思いますので)調査しておくことをお勧めします。
    • こう切り返した後で、なお色々と言ってくるようでしたら、「【私に解るように】資料を持ってきて説明してください。きちんと理解していらっしゃるのでしたら、【私に解るように】解説することも可能ですよね?、あなたがそれをお勧めするのでしたら、それは私が努力して理解するよりもまず先に、あなたがきちんと私にもわかるように説明するべきだと思います。」と再切り返しすることができるはず。
      • 「単に押し付けること」が目的の方はここで諦めるでしょうし、逆に相手方が「本当にきちんと理解している」のでしたら、本当にあなたにとって理解できうる方法で説明してくださるはずです。乗り換えるかどうかは別にして、そういう「わかりやすい説明方法」を提示してもらった場合に限っては、よくよく聞いてみる価値があるかもしれません。

 もう少し汎用的には……

  • 「うーん……興味ないですから。」

でいいと思います。まだ言われるようでしたら、

  • 「あなたがやっていることは、少なくとも【私にとっては】迷惑電話や迷惑な訪問販売と同じです。」

と切り返して良いと思います。


 というか、本来は「きちんと理解したうえで、興味がある方に対してのみ説明をするべき」だと思うのですが、実際には「理解もそこそこに、安易な理由で押し付けるだけ」という例が多い気もします……
 いや、これは【○○入力方式】に限った話ではなくて【普通ローマ字入力】をお使いの方にも残念ながら存在しますので(そもそもこういう言及は、入力方式ではなく「人」に依存する問題ですから)、こういう方は反面教師として見るほうが良いと思います。

ローマ字入力をするつもりが「かな入力」になってしまって困るのですが。

 大抵はIMEをOnにしてから「ALT」をおしつつ「ひらがな」を押せば直ります。また、マウス操作だけで直すこともできます
 良く使うパソコンがしょっちゅう「かな入力」になってしまう場合、この操作に関するメモ紙を貼っておくことをお勧めします。

  • 読点・句読点の近くには「ALT」と「ひらがな」が並んでいるので、知らずに操作してしまう事故は案外起きがちです。かな入力な人が使っていない端末であっても、「かな←→ローマ字」の切り替え方法メモは貼っておくべきかと思います。

普通ローマ字入力は「人様に奨める方が良い」のですか?「人様に奨めない方が良い」のですか?

 それは、あなた自身の判断にお任せします。
 殺し文句の「シェアが一番だから!」で押し切るのが一番簡単なのですが……この理由、長くは続かない可能性もありますので、別の視点で「普通のローマ字入力」の利点をきちんと理解しておく方が良いかもしれません。
 #「かつて」シェアが一番だから!という理由を使っていたのはJISかなでした。「次がどうなるか」など、私にはまるで予想できませんので……。

ローマ字入力はローマ字を想起しつつ入力しなければならないから、日本語入力をするには不自然だ」という意見がありますが?

 ここでいつも通りの「慣れれば自然にローマ字を想起せずに入力できる!」とかいう話を持ち出すのは得策ではありません。なぜならば、
 【ローマ字入力を12年やっても慣れてない奴(→私とか)が居る】
わけでして、こういう言及は「ローマ字入力になれることが出来なかった、でもローマ字入力自体は出来る」と言う方に割と多く見られる言及ですので、この論法は「必ずしも皆そうなるとは言い切れない」と切り返されてお仕舞いになってしまいます。


 では、この論法はどこに問題があるのでしょうか?
 それはおそらく、
 「【慣れれば】自然にローマ字を想起せずに入力できる!」
でしょうね……この【慣れれば】が曲者なのです。


 今までローマ字入力を習うというと、それが学校でもパソコン教室でも独学でも、必ず「ローマ字表」を使って入力していましたよね……要は、

  1. ひらがなに対応するローマ字を見つける(or思い出す)
  2. ローマ字綴りに対応する英字を見つける
  3. 英字キーを打鍵する

というシーケンスを経ていたわけですが、これ自体が問題なのだと思います。


 この問題を解決するための根源対策はただ一つ、
 【そもそもローマ字入力のためにローマ字綴りを頼ってはいけない】
です。
 前出の「普通のローマ字入力」を始めからタッチタイプで覚えるためのシートは、まさにそのために作成したものだったりします。
 ちなみに、これは私が提唱したものではなく、もっと前からこういう考え方は存在します。一番有名な方は増田忠士氏ですね。同氏による著書の

も、同じく「ローマ字表を意識させない」練習方法を記述しています。


 ということで、回答としては
 【そもそもローマ字綴りをアテにして練習すること自体が間違っている!】
ですね。


 もっとも、ローマ字綴りを無視して練習すると「ローマ字入力自体が持つ無駄な部分」が割とはっきりと現れてしまうことは否めません。ここでは「シェアが一番だから・PCでは標準だから」の言で乗り切る以外に方法はないと思います……後でどう恨まれても責任は取れませんけれども。


 もう少しスマートかつ真摯な説明は……あっ、「どこのPCでも【とりあえず】普通のローマ字入力は使えるから、覚えておいて損はないよ!」というのはアリですね。これならば一切嘘はないですし、下手に妙な説得をするよりは親切かもしれません。

ローマ字入力は「覚えやすい」ですか?それとも「覚えにくい」ですか?

 一般に、キー数が少ない方式のほうが「キーの位置は覚えやすい」様です。また、手がかりが無いよりは手がかりがあるほうが「既に知っている知識を使いまわし出来る分だけ覚えやすい」ということもありますね。
 この2点は「普通のローマ字入力(ローマ字を知っていれば解る)」と「携帯電話のかなめくり入力(五十音かな表を知っていれば解る)」に共通しています。


 そういう意味ではなく「初心者が短時間で実用的に使えるようになるか?」という視点に立った場合の調査については、
 http://nicola.sunicom.co.jp/spec/demand.htm (文書中央、練習時間別入力測定調査(1983年))
の様になるそうで……練習方法の選択によって、覚えやすさはだいぶ変わってくるのかもしれません。


 変わった見方ですと、上で提示した

では「2〜3打鍵ずつに区切って練習すると、最後に打鍵したキーのイメージが強く残る」という風なことが書いてあるようです(注:意訳)。
 そうすると、普通のローマ字入力を五十音表に従って練習する場合は、ちょうどローマ字入力は2〜3打鍵で一文字を示す例が多いので、特殊な練習方法を用いずとも力技で覚えられる……のかもしれません。
 イメージとしては、【K】を打った後が

□ □ け □ □  □ く き こ □ 
 か □ □ □ □  □ □ □ □ □ 
 □ □ □ □ □  □ □ □ □ □ 

であったり、【KY】を打った後が

□ □ きぇ □ □  □ きゅきぃきょ □ 
きゃ □ □ □ □  □ □ □ □ □ 
 □ □ □ □ □  □ □ □ □ □ 

であったりするわけですから、特に「普通のローマ字入力」は同書に頼らなくとも「似た形で」習得しやすくなっているのかもしれません。


 逆にかな入力ですと「大抵のかなは1打鍵で出てしまう」のでこのルールに合わず、しかも【゛】・【゜】キーは後押しなので、普通にやるとShiftを押しながら入力する「ぁぃぅぇぉっゃゅょ」あたりしかこのルールには合致しないことになります。
 かな入力で実際に入力していると、漢語の読みで2〜3打鍵目に使う「いうんっつくちき」あたりはこのルールに合致し出現頻度も高いので覚えやすいのですが、それと似ているのかもしれません。
 もっとも、JISかなであっても「か゛か」「し゛し」など濁音をはさんで練習するのであれば「3打鍵で最後が目的のカナ」になるよう練習できますので、様は練習方法をどうやるかについて考えれば良いだけなのかも。

私はローマ字綴りが解らないorローマ字入力をしたくはないのですが、ローマ字入力は覚えておく方が良いですか?

 「無理強いはしません」が、覚える余力があるならば、覚えておく方が良いかもしれません。
 「ローマ字綴りが解らない」「ローマ字綴りを経由して日本語入力をするのは嫌だ」という方の場合は、上記の本(スピードアップをめざす人のためのらくらくキーボード練習帳―タッチタイプから長文入力まで)を入手いただくなり、前出の「普通のローマ字入力」を始めからタッチタイプで覚えるためのシートをお使いいただければ、ローマ字綴りを覚えずとも「普通のローマ字入力」は可能かと思います。

日本語入力の分野ってゆーと、「かな入力は○○が××だからダメだ」とか「ローマ字入力は○○が××だからダメだ」とかいう話(たまに喧嘩腰であったり、人を小馬鹿にしていたり……)がよく出てくるけど、そういう話って鵜呑みにしていいの?

 さぁ……私自身が今思う範囲では

 人様に迷惑をかけない場合に限り、自分が信じるとおりにやればそれでいい

と思います。
 実際、ここまでで暗に

ローマ字入力は○○が××だから(以下略)」

という書き方をしてしまっている部分がある(正直言って、これはきちんと直したい)のですが、これらの内容を信じるか否かは

 これを読んでいる方ご自身で判断すべき問題

であり、私自身がその判断に対して口を出す権利はないと思います。


 あなたにとっての真実は、あなたにしか探せない……と、私はそう思います。
 ゆえに、ここに書いていることを鵜呑みにすることはお勧めしません。ぜひともご自身でお調べになった上で、最終的な判断をされることをお勧めします。

(ここから下は2006年3月17日1:19:58追記分)

○○入力方式は優秀であり、××入力方式は劣っている!これは定説だ。

  • あなたは××入力方式が嫌いですか?
    • ××入力方式で実際にタッチタイプできるようになってから、そういう言及をすることをお勧めします。
      • 使ってもいない××入力方式についてあれこれ文句を書いたとしても、あなたの批判にはまったく説得力がありません。
      • 使ってもいない××入力方式との比較文章を書いたとしても、あなたの説明にはまったく説得力がありません。
    • あなたがもし○○入力方式と××入力方式を両方使いこなせるのでしたら、どうか両方の利点と欠点をなるべく公平に記述願います。
      • 「あなたとは違う結論に至った人が見ても納得できうる指摘」が多くなされていれば、その指摘は多くの方にとって有用となるはずです。

なぜFAQの様な項目がたくさんあるのですか?

 四半世紀にわたって、延々とこのようなやり取りが繰り返されてきたからです。
 ここをお読みの方にだけご理解いただければ、それでOKなのです。細かいことを気にしてはいけません。