「キー入力入れ替えソフト」のJIS規格化を目指して。
(未来:(メモ)「キー入力入れ替えソフト」のJIS規格案として、どういう配列定義用フォーマットがあればよいのだろうか……。)
(過去:とりあえず親指シフト「エミュレータ」と親指シフト「ソフトウエアロジック」だけをJIS化してみよう!)
飛鳥の版が早速上がってしまって「えーっ」という感じだった……ということは置いておくとして。
ふと一歩引いて考え直してみると、飛鳥の配列が確定するか否かに関わらず「色々な入力法が存在する&今後もさらに色々な入力法が提案される可能性がある」ことを考慮すると、結局のところは「色々な入力方法を実装できるフレームワークが必要」というところに落ち着きそうだな……と。
……で、実現するかどうかという段階はおいておくとして、ひとまず「どういう形でJIS化できる可能性があるだろうか」ということについて考えてみました。
純粋に技術的な側面(これは私が言及するべきかどうかがよく解らない)よりも、【いかにメリットを享受する利用者数を多く取るか】【いかに多くの著名な協力者を得られるか】にフォーカスをあててみました。
実装方法について。
★パターン1、とりあえず親指シフト「エミュレータ」と親指シフト「ソフトウエアロジック」だけをJIS化してみよう!による方法。
……親指シフトにしか適用できないところが微妙。
頼る先が日本語入力コンソーシアムしかないのだけれど、今まで利用者から散々「日本語入力コンソーシアムは普及への努力をしていない!」とかいう声ばかりを聞いてきた気もするので、ちょっと微妙かな……と。
★パターン2、姫踊子草のようなシステムインターフェース(MMI)のみを定義する方法。
……この方法であれば、ソフトウェアベースの入力法は一通り実装できそう。
#ただし、日本工業規格制定・改正案の工業所有権の扱いに係る声明書(Word 23kb)に署名されるかどうかは、それぞれの入力法設計者に任されますけど……配列を単独でJIS化するのが事実上困難である以上、何とかなりそうな気はします。
ここで、考える道具―ワープロの創造と挑戦を読了、なんとなく感想を。で引き合いに出した考える道具―ワープロの創造と挑戦で、森さんによる以下のコメント(注:意訳)をもう一度持ち出してみます。
JISの委員会に「けん盤配列製作者」を二人以上入れると、何時まで経っても意見はかみ合わない*1。
鍵盤製作者を排除した「日本語入力用鍵盤についてトコトン考える」ような委員会が必要で、それがなければ誰も決定結果を信用しないはず。
実は元の文章、「けん盤配列製作者」を二人以上〜などという書き方ではなく、具体的にこういう方の名前が挙がっています。
……で、ここに上げられた方々が「俺が、俺が……」と言い出しては絶対に決まらない!*3から、製作者を入れるべきじゃない……という話に至っていたわけです。
ところが以前に書いたとおり、これは【人間と物理けん盤との接点を決めようとするからモメる】のであって、【物理けん盤とシステムとの接点を決めようとすれば、全員の意見を含めたエミュレータができる】ことになり、結果として「みんなが幸せになれる」可能性を秘めていると、私はそう考えています。
JISの規格へと乗せる場所について。
★パターン1、けん盤規格として「新JISキーボード規格(要するにJISX6004の後継)」を作る。
……これははじめから論外。
第三入力方法たるNICOLAはユーザが増えては居ないらしい*4し、第四入力法以下は統計すら出ないだろうし……いずれにせよ「けん盤配列」としての規格化は現実的ではない、と。
★パターン2、JIS X 4064:2002「仮名漢字変換システムの基本機能」のアップ・トゥ・デート時に追加で「キー入力入れ替えソフト」のJIS規格版をぶち込む。
★パターン3、新規で「キー入力入れ替えソフト」のJIS規格化を行う。
……「結束すれば実現可能」かも知れない。
色々な入力法をサポートして「規格制定によってメリットを享受する人」が多ければ多いほど、規格の実現性は高まる……と、ここがポイント。
規格部分は「英字配列テーブルの書記法」「かな漢字配列テーブルの書式法」「配列テーブルの解釈方法」「同期シフト法(NICOLAなど)・同時連続シフト法(飛鳥など)・連続シフト法(TRONなど)・左右独立連続シフト法(M式など)・SandS法・複数キーUpリリース法(速記系配列)・同時打鍵を絡めた逐次打鍵法(蒼星など)についての挙動定義」「解釈したテーブルをJISX4064対応システムに伝達する方法」「標準的に採用するべき配列テーブル」の多章立てになりそう。
規格が目指すべき最終的な方向について。
日本語入力用キー配列(指に宿る記憶)に関するリンク集に掲げた方法のうち、日本工業規格制定・改正案の工業所有権の扱いに係る声明書(Word 23kb)に署名いただけた入力法全てと、その他の「工業所有権を主張しない入力法の全て」が実装可能な仕掛けを採用していただきたいと考えています。
#個人的には「日本語入力用キー配列(指に宿る記憶)に関するリンク集に載っている方法のうち、同意を得たもの全てが規格の紙面に載らない限りは完璧とはいえない」と思います。
この「キー入力入れ替えソフト」のJIS規格化という考え方自体は、決して【既存の商用入力方法だけが実装できれば、それでよい】という考え方で実装されるべきではなく、【既存の入力方法+今後発生するであろう入力方法が一通り実装可能である】必要があります。
「俺が、俺が……」の理論でほかの入力方法に関する配慮が不足すると、せっかく規格を作る意味がなくなってしまいます。そのあたりに関して一貫して引っ張っていただける方にリーダー役を引き受けてくださると、うまくいく可能性が上がると感じています。
#ちょくちょく手弁当で会合を開く必要が出るでしょうから、首都近郊で手を上げてくださる方がいると良さそうです。
……で、私がここ(柔軟性の維持)にこだわる理由は色々とあるのですが、そのうちの一つは明確な記事が元となっています。
02/02/25 公式レビューへのコメントをしてきたのさ。
これは鈴見咲さんの姫踊子草の楽屋裏(HTML版)で公開されているものです。
少なくとも、この記事の意図を全く理解できない人には、委員になってほしくはないなぁ……と。
配列そのものを売って飯を食っている人はどうすればいいのか。
タタク ゆとり世代のキーボードシステム”タタク”や、あるいは超絶技巧入力のような例について。
……日本工業規格制定・改正案の工業所有権の扱いに係る声明書(Word 23kb)に署名すると、配列そのものの使用権を使って飯を食うことはできなくなります。
それでは困る!という場合は……「署名はせずに、配列をこの規格向けには供出しない」必要があります。
規格に載らなければ初期配列定義として含まれることはないわけですから、後はこの規格に合致するように配列を微調整して(たぶん調整の必要はなく、単に既存の定義をこの規格向けの定義へと変換するだけで済むはず)、定義とインストーラを販売すれば、それでよいのではないかと思われます。
……ほかの方法よりは十分に高い実現可能性があるはずですが、それでも実現可能かどうかは不明です^^;。
(2007年10月22日2:29:29追記)キーボードに配列データを搭載する方法についての追記。
この規格にひとつ追記したいことが。
接続したキーボードのうち、この規格に合致する配列データを「キーボード自身が持っている」場合については、その規格を(必ず、ではなく)優先して選択できるようになるといいかも。
切替方法についてはどうにもよい案が浮かばないので、とりあえずは「配列データを記録したROMを搭載しておいて、PC側にコピーできるようにする」ぐらいが妥当かも。